GoldenPhoenixRecords

Rachelle・水沢よりアナタへ

グラミー賞2021ノミネーションを見ての感想および受賞予想

第63回グラミー賞のノミネートが発表された。

毎年何かしらの物議を醸し出すノミニーの顔ぶれ。今年は早速The Weekndが全くノミネートされていないことに対する論争が、エイベル君本人をはじめあちこちでなされている。

 

今年のノミネーション、主要4部門は以下

 

最優秀レコード賞

 

“Black Parade” by Beyonce

“Colors” by Black Pumas

“Rockstar” by DaBaby & Roddy Ricch

“Say So” by Doja Cat

“everything i wanted” by Billie Eilish

“Don’t Start Now” by Dua Lipa

“Circles” by Post Malone

“Savage (Remix)” by Megan Thee Stallion feat.  Beyonce

 

最優秀アルバム賞

 

“Chilombo” by Jhene Aiko

“Black Pumas (Deluxe)” by Black Pumas

“Everyday Life” by Coldplay

“Djesse Vol. 3” by Jacob Collier

“Women In Music, Pt.3” by HAIM

“Future Nostalgia” by Dua Lipa

“Hollywood’s Bleeding” by Post Malone

“folklore” by Taylor Swift

 

最優秀楽曲賞

 

“Black Parade” by Beyonce

“The Box” by Roddy Ricch

“cardigan” by Taylor Swift

“Circles” by Post Malone

“Don’t Start Now” by Dua Lipa

“everything i wanted” by Billie Eilish

“I Can’t Breathe” by H.E.R.

“If The World Was Ending” by JP Saxe feat. Julia Michaels

 

最優秀新人賞

 

Phoebe Bridgers

Indrid Andress

Doja Cat

Kaytranada

Megan Thee Stallion

Noah Cyrus

Chika

D Smoke

 

 

 

今回も錚々たるメンツである

 

対象期間にリリースした自身の新曲は実質一曲だったビヨンセがその一曲で主要2部門にノミネート、さすが女王の風格である

 

去年の新人賞候補であり今年主要3部門にノミネートされたBlack Pumas、正直今回初めてまともにお名前と活動履歴を確認したが、グラミー会員が好きそうな、実直でメロディアスなブルースを歌うバンドだなと思った。「アラバマ・シェイクス枠」とでも言えようか。

 

“Rockstar”と”The Box”の2曲でそれぞれ別々の2部門にノミネートされたRoddy Ricchは、去年のLil Nas Xに通ずる新時代のラップスターか。

 

SNS界隈では「グロスみたいにキラキラ光る」曲の存在感が強かったDoja Catはグルーヴィーでレトロな感触が心地良い”Say So”の大ヒットがレコード賞だけでなく新人賞のノミネートも後押しした。

 

去年圧倒的な支持を集めて主要部門をかっさらったBillie Eilishは今年も新曲で堂々のノミネート。これとは別で発表された007最新作の主題歌も映画歌唱曲部門でノミネートされている。

 

去年の暮れにリリースされた”Don’t Start Now”がビッグヒットになったDua Lipa、最新アルバムは他のシングルも堅実にヒットして今年を代表する1枚になった。

 

ここ数年、Drakeと同じく「曲をリリースすれば爆発的ヒットになる」アクトPost Malone。もはやラップっぽさがほとんどないオルタナシンガーソングライター然としたアルバム”Hollywood’s Bleeding”とそこからの大ヒットシングルで3部門にノミネート。

 

Doja Catのヒットと時期を同じくしてビヨンセをフィーチャーしたSavage (Remix)で初のHot 100トップを獲得したMegan Thee Stallion。Cardi Bとのシングル”WAP”やデビューアルバム”Good News”の勢いそのままに、レコード賞を獲得出来るか。

 

Jhene Aiko、Jacob Collierといったフレッシュな面々の中にシレッとColdplayのあまりヒットしなかったアルバムがノミネートされているのもグラミーらしい(著者は彼らの最新作、結構好きだったよ)。

 

毎年「レコード賞と違いがわからん!」と揶揄される楽曲賞、H.E.R.の強烈で緊迫したメッセージのこもった”I Can’t Breathe”と、何年かに一度出る「牧歌的なサウンドとちょっと捻った歌詞がなぜかキャッチーでヒットしちゃう」枠(別名『Gotyeの”Somebody That I Used To Know”、Passangerの”Let Her Go”』枠)のJP Saxe & Julia Michaels。

 

例年以上に「新人じゃなくね?」な新人賞。

 

 

 

どこまでも「グラミーらしいな」といった顔ぶれである。

 

 

 

その他話題にあがっているところでいえば、BTSの「最優秀ポップグループパフォーマンス」ノミネート、「最優秀ロックパフォーマンス」のノミネーションが初めて女性もしくは女性がフロントマンのグループで占められたこと等。

 

個人的には「Best Rap Performance」と「Best Melodic Rap Performance」というカテゴリー分けがあることにビックリしている。

ポップ畑が元々MaleとFemaleに分けられていたのが数年前に統合されたりロック畑のカテゴリーが減ったり、グラミーはグラミーなりに世相を反映させているということか。

 

 

 

そんな中から著者の受賞予想を。

 

レコード

Black Parade

 

アルバム

Future Nostalgia

 

楽曲

I Can’t Breathe

 

新人

Doja Cat

 

 

ここしばらくビヨンセは主要部門にノミネートされながら悉く受賞を逃している。アルバム『Beyonce』も『Lemonade』も『Lion King: The Gift』も、クオリティはグラミー受賞レベル以上の素晴らしさだけれど、悪い意味でのグラミーっぽさにあてられてしまっているとでも言えるだろうか。最後にビヨンセが主要部門を受賞したのは2010年のグラミーでの最優秀楽曲「Single Ladies」なのだ。奇しくも彼女が、ポップな曲を求めるレコード会社に対して「私は自分の出自、アイデンティティに根付いたDopeな音楽をやりたい」と言ってSwagga溢れる方向性にシフトしていった頃から、彼女の”不遇”は始まった(アルバムを出せば片っ端から主要部門にノミネートされることを「不遇」と言うのであれば、だが)。カニエでなくとも「ビヨンセが受賞すべき」と言いたくなる気持ちがわかるだろう。

 

そんなBeyの渾身のアフリカン賛歌。

曲が持っている”圧”が違う。

 

 

 

Dua Lipaは”New Rules”のヒットから大きく脱皮して名実ともに世界のトップアーティストにのし上がった。”Hotter Than Hell”がUKシングルチャート最高位15位と、最初のヒット曲を出すのに苦心していたのが嘘のようである。

レコード部門や楽曲部門のノミニーだけでなく、今年のヒットチャートを見てもわかる通り、ここ数年(特にストリーミングがアメリカの隅々にまで浸透してから)ラップ系統の曲がすごく強い。それもいわゆるDopeで最新のヒップホップマナーにどっぷりと浸かった、著者にとってしっくりくる言い方をすれば「Not so Popな」曲。そういった楽曲がシングルチャートの上位、ひいてはアルバムチャートの上位を独占することが決して珍しくない昨今。

その中で、Duaの”Don’t Start Now”や”Break My Heart”は嬉しいサプライズヒットとなった。ラップがひしめくチャートの中で、DuaやHarry Stylesの”Watermelon Sugar”のような楽曲は、それこそ「水槽に落ちた絵の具みたいなイレギュラー」として鮮烈に耳に残った。

そしてDuaのアルバム「Future Nostalgia」はシングル曲だけでなく全ての曲がアイコニックで耳に気持ちいい。”Good In Bed”の気怠げなコーラス、”Hallucinate”の踊り出したくなる疾走感。”Boys Will Be Boys”の「男の子は男の子のままだけど、女の子は女性になる」は今年のベストライン10に入る。

 

テイラーのアルバムは意欲作だった。ポップスに振り切れた彼女にはそろそろ今回みたいなシンガーソングライター然としたおとなしいアルバムを出して欲しかったから、あまりのドンピシャっぷりにガッツポーズをしたくらいだ。

HAIMのアルバムも、ロスタムがガッツリ参加したことで彼女達の新境地を切り拓いた。コープレのアルバムは安定感があった。小難しい見た目をしつつ、拍子抜けするほど聴きやすかった。

 

良質なアルバムが並ぶ中で、しかしDuaのアルバムはクオリティも賞レースにおける「オーラの流れ」みたいなものも、頭一つ抜け出ていると思う。

 

 

 

H.E.R.の楽曲”I Can’t Breathe”、言わずと知れたGeorge Floydさんの最期の言葉だ。音楽的にはすこぶるH.E.R.らしい良質なオルタナR&B。正直グラミー向きかと言われるとわからない。

けれど、楽曲賞はソングライターに送られる賞である。今のアメリカに必要とされる楽曲を、H.E.R.はそのクレバーさで見事に生み出したと思う。

新世代のグラミーガールが本気で主要部門を獲りにきている。

 

 

 

新人賞はいつも「その他の主要部門3つにノミネートされているかどうか」で判断するようにしている(著者はそれでBon IverやAlessia Caraの受賞を当てられた。自慢です。何か問題でも?)。

Roddy Ricchが入っていないことが意外であったが、ここは唯一「ソロで」ノミネートされているDojaで行こうかと思う。何かとゴシップのネタになることもある彼女だけれど、”Say So”はおDuaのアルバムに通ずる「温故知新」さを感じられる楽曲だった。グラミー会員はこういうの、好きそうな気がする。

 

 

 

グラミーはあくまでグラミー。

「あれがノミネートされていない」「全然ヒットしてないのになぜノミネートされてるんだ」

そんなことを言っていたらグラミーなんか楽しめない。

これは「一番売れた曲」「一番優れている曲」等を決めるものではない。「一番グラミーっぽい音楽」を決める賞レース、そして「レコーディングアカデミーが一番推したい音楽」を決める賞レースなのだ。

エイベル君がノミネートされなかったことは残念かもしれないけれど、それが”Bliding Light”の価値を落とすことには一切ならない。なんだったら誰か彼に「それなら君は、このノミネート作品のどれを外して自分の枠を作ればいいと思うかい?」って訊いてほしいわ。

 

 

 

さ、みんなで来年のグラミーも楽しもう!

 

 

著:ゴードン村田

Coming Home For Christmas

After all of the leaves, turned from red to grey

There are joys in the air, for those people who are cared.

Sitting by the fireplace, drinking laughing in the rest

But who would ever know, what the other side of the world

 

There are six-feet tall children,

In the line to wait for the welfare.

I see a mom without a daughter, the space between getting older.

This old man in the small house, nothing but hope for the family he never had.

Oh what do you see?

 

After all of the leaves, piled up on the sideways

The kids across the borders, driving their way to home now.

The street outside the door, neighbors shoveling out the snow

But who would ever know, what’s truly we all want.

 

All the bright lights in the big city, these tv shows that make you feel.

There is more to take than what you get, or let you feel bad not to spare.

How long will it take to realize, It don’t belong to what’s really we are.

Oh what do you say?

 

For the first time in a while, On my way to those dear smiles.

I walk this winter aisle, to deliver these two simple words.

I’m coming home for Christmas

Gordon Murata Interviews BNA: About The Single "After The Leaves Gone"

注)下記のインタビュー記事をどこまで真実として受け取るか。

それは例によってアナタ次第。

なぜって?だって「真実」とは常にサイコロの目のようなもの、見方によって如何様にも変わり得るものだから…

 

***********************************************************************************

 

2020年11月

ロサンゼルス某所にて

 

 まずは新作のリリース、おめでとうございます。

M: ありがとう。今回はとても挑戦が多かったから嬉しいわ。

 お気持ち、お察しします。元々はフルアルバムの完成を目指していらしたとお聞きしました。

M: その通り。夏にリリースした挨拶代わりのEPに続く作品として、ファンにキチンとしたものを届けたいって思っていたから。だから最初に『アルバムは諦めて納期までに出来上がった曲を発表しよう』って話をレーベルからされた時はとてもストレスフルだったわ。もちろん、アタシがクオリティの高い曲をアルバム一枚分まで揃えることが出来なかったことも原因なんだけど。

 アルバムのリリースを後ろ倒しにしようという方向にはならなかったんですね。

M: それはハナッから無かったわね。BNAというグループは常に進化しているの。5人とも今が人としてもアーティストとしても最も成長する時期だし、アタシの芸術家としてのモットーである「今この瞬間をヴィヴィッドに表現する」を実現させるためにもリリースペースを落とすわけにはいかないの。ファンのみんなには常に「現在進行形のフレッシュなBNA」を届けたい。これは彼らも同じ思いよ。

 すると、ここに収録されているのは全て前回のEPがリリースされてから取り掛かったものなのでしょうか?

M: ええ、そうね。実は、デモを聴いたレーベルから「先にリリースしたEPに新曲を追加収録してデラックス盤としてリリースし直そう」って打診されたの。けどアタシとボーイズが猛反対して(笑)。

 なるほど(笑)。

M: アタシ達はアーティストである以前に音楽ファンでもある。その自分達が「嫌だな」って思うリリースはしたくなかった。それにストリーミングが主流の現代で、わざわざ再発盤を出す理由もないし。

 曲について伺います。「Fell In Love With A Fool」はTeaching Circusの楽曲に同名のヒット曲がありますが、今回は同名の有名曲がある中で敢えて同じ名前の別曲を書かれたのですね。

M: そうね。この「Fell In Love With A Fool」っていうフレーズはずっと気に入っていたんだけど、どういう曲にするか迷っていたの。TCが歌っている曲も元々は日本のアーティストのカバーなんだけど、それとは全然違う雰囲気の曲にしたかったの。

 「Was Yours」についてはどうでしょう。この曲は書きあがってからレコーディングまでが早かったと伺っていますが。

M: その通り。この曲のメロディが最初に思いついたのは10月の終わりごろだったわ。当時既に手元の曲がアルバムを何枚も出せるくらいあったけれど、FILWAF以外はどれもまだまだ満足のいくボーカルが録れていない状態だったの。中々作業が進まなくてみんなイライラしていたのね。そこに突然ふっとこの曲が降りてきて。他の煮詰まっていた作りかけの曲を完成させるのではなく、新たに生まれた曲の勢いやヴァイブスを大事にしようって話になったの。

 なるほど。この曲のインスピレーションはどういったところから?

M: 曲が湧きあがる時はいつも突然なの。冬にピッタリな、センチメンタルなバラードを出したいって思ってたんだけれど、無理やり曲を作ろうとはしなかった。ある時ある瞬間にふっと出てきたメロディと言葉の響き、そういったものを大切にしているわ。結果的にOneRepublicの「Apologize」に似たコード進行や展開になったけどね。これはBNAにとっての「Apologize」よ(笑)。

 前作では『Chapter 0』という題名がついていましたが、今回のシングルにはそれがありませんね。

M: 今回のシングルは彼らの正式なディスコグラフィというよりもファンへのサプライズプレゼント、みたいなものなの。デビューアルバムを作る途中で偶然生まれた楽曲を今リリースしたいっていう気持ちを優先させた結果、チャプターは敢えて分けたのよ。それに、2曲だけでChapter 1っていうのもなんだかしっくり来ないでしょ。今後正式にまとまった形でリリースされるものを楽しみにしながら、今回のシングルを楽しんでもらえたら嬉しいわね。

 

 

 スカイラー、今日はインタビューのために時間を割いていただきありがとうございます。

S: なんてことはないさ。これも仕事の一つだもんね。

 あなたは今回、FILWAFでメインボーカルをとっていらっしゃいますね。

S: そうだね。レイチェルはどうも僕とティミーに暗い歌を歌わせたいみたいだね(笑)。

 実際、あの曲でのあなたのボーカルは素晴らしいと思います。以前行ったインタビューで水沢さんも仰っていたように、あなたとティモシーの歌声はよく似ていると思います。

S: それは僕も思ったんだ。これまで自分たちではわからなかったけれど、今回リリースする2曲を改めて聴いてみたらすごく似てて、僕ら自身ビックリしたよ。声質だけでなく、発声の仕方や歌い方の表現とか。本当に似てるよね。

 そう思います。あなたは陽気で口数も多く、グループのスポークスパーソンみたいな存在ですね。対してティモシーは大人しめで、他のメンバーに比べて一歩下がってグループを見守っているように感じます。対照的なお二人の歌が似ているというのは面白いですね。

S: さっすが僕らの専属インタビュアー、よく聴いてるね。はたから見た僕らは全然違うだろうけれど、芯の部分では似通ったところがあるんだ。例えば、僕とティミーは常にリスクヘッジをしたり今いる自分達の状況を冷静に見ているところがある。こうしてグループとして人気が出てきて活動の幅が広がっても、どこか自分の中の冷めた部分で「この状況は長続きしないぞ、次の一手をどうするか考えた方がいいぞ」っていう心の声が聞こえるんだ。 とても地に足のついた考えをお持ちなのですね。

S: そうとも言えるかもね。ディエゴに言わせれば僕ら2人は悲観的過ぎるらしいよ。言えてるなと思う時もあれば、大声で否定したくなる時もある。けどどんな時も僕らは5人でお互いを支えあってるんだ。それぞれ個性があるからこそグループとしての幅が広がる。僕は今の自分に満足しているよ。

 普段明るくてファンサービスも旺盛なスカイラー・ウエストの姿を見ていると、すごく意外です。

S: でしょ(笑)。僕もそうだし他のメンバーもそうだけど、意外な一面をいっぱい持っているんだよ。

 楽曲についてお伺いします。

S: FILWAFは初めてレイチェルからデモを聴かせてもらった時に、すぐに気に入って自分がメインで歌いたいって思ったんだ。ダークでちょっと大人っぽくて。ファンのみんなをビックリさせられるかなと思ってさ。よくあるアイドルソングみたいなのじゃない、深みのあるポップソングに僕は惹かれるんだ。WYも同じ路線の曲だけど、FILWAFの方が退廃的でクセがあるよね。UKのポップスっぽさを目指したんだ。ストリングスを入れようって提案したのも僕なんだ。

 アレンジにも参加しているんですね。

S: 曲作りにルールはないからね。僕ら5人も常に曲は書いているけれど、何せレイチェルがあまりに多作で一つ一つもクオリティが高いから、僕たちが書いた曲が入る余地が今のところないんだよね(笑)。けどそのうち、5人で書いた曲をリリースしたいね。サウンドスケープも基本的にレイチェルが色々と案を出してくれるんだけど、最終的に歌うのは僕らだから僕ら全員が納得するようなアレンジになるようにみんなで知恵を絞っているよ。

 前作のデビューEPと比べると、サウンドがグッと大人っぽくなりましたよね。

S: でしょ!ボーカル録りでもアレンジでも、そのあたりは意識したんだ。特にティミーは声変わりも終わって本格的にボーカルが安定してきているし。AAAのラジオ局でもかけてもらえるようなアダルトな雰囲気のある曲にしたいって思いながら作ったんだ。

 本来は今年中にアルバムを発表する予定だと伺いましたが、制作が遅れていることによる焦りなどはありませんか?

S: んー、ないと言ったら嘘になるけど、アルバムではなくてもこうやってファンのみんなに音楽を届けることが出来るだけで僕は最高に幸せだよ!

 

 ディエゴ、今日は忙しい中インタビューに時間を割いていただきありがとうございます。

D: いいってことさ。インタビューはいつでも大歓迎だ。

 BNAのメンバーは個人でSNSのアカウントを持ってらっしゃらないですよね。

D: そう。俺やスカイラーが余計なことを言わないようにってミズが禁止しやがってよ。デジタルネイティブの俺らならネットで言っていいことと悪いことの違いくらいわかるってのに。まあけど、それもあって俺らの声をこうやってインタビューで世に出せるってのは貴重な機会なのさ。

 なるほど。今回のEPではあなたにしては珍しくコーラス等裏方に徹していますね。

D: 俺だってグループの一員だっていう認識はちゃんとあるからな。今回はスカイラーとティムティムがリードにピッタリだった。それだけのことさ。だからって曲に思い入れがないわけじゃないからな。

 曲を聴きましたが、いつになく繊細で美しいコーラスでした。

D: 俺の声は5人の中でもちょっと異質だから、他のメンバーとの声に溶け込めるように歌うのはチャレンジングだったよ。今回そこがうまくまとまりを持って聴こえるのは俺らの成長とミズのディレクション、プロダクションの妙があってこそだと思ってる。このグループは実質6人組なんだ。ミズが作る曲や音があるから俺らは輝けるし、逆に俺らこそがミズの曲を一番うまく表現出来るんだ。

 水沢さんのことを信頼してらっしゃるんですね。

D: もちろんだ。メンバー同士、相手のセンスを信じているから意見を聞き入れることも出来るし、信頼されているってわかるからこそ率直な意見を言えるんだ。それがチームってものだろ?

 その通りだと思います。今回はディエゴのソロパートはありませんでしたが、現在制作中のアルバムではどうでしょう。

D: (ソロパートが)たくさんあるといいけどな(笑)。そもそも俺らみたいな大きなプロジェクトだと、今取り掛かっているものがどういった形になって世に出るのか予測をつけるのが難しい。曲は常に書いてるし常に録っている。あとはそれらを全て並べて皆で頭を捻りながらアルバムという名のパッチワークを作っていくんだ。

 ディエゴ、あなたの唸るような声は非常に魅力的だと思います。それをアルバムで聴けるのが楽しみです。

D: ありがとうよ。俺が良い曲を書けるようにと良い感じの録音が出来るように祈っててくれよな。

 

 アンソニー、本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます。聞いた話だと、何かドラマの撮影に参加してらっしゃるとか。

A: そうなんですよ。あんまり詳しくはお話出来ないんですけどね。こちらこそ少ししか時間を取れずに申し訳ないですね。

 とんでもない。早速ですが、今回のシングルに関して、あなたにとって、そしてグループにとってアーティストとして成長した点についてお聞かせください。

A: なんだか難しい質問ですね(笑)。正直今回のシングルに関しては、僕自身はあまり手応えを感じていないんです。アーティストとしての僕らはまだデビューしたてですが、僕自身BNAを結成する前からオーディションはいくつか受けていて、中には結構良いところまで行ったものもあったんですよね。当然その過程で、自分のアーティスト像みたいなものが出来てきて。僕はもう少しオルタナR&B寄りの楽曲に挑戦したいと思ってるんです。実際今作っているデビューアルバムにはそういったサウンドの曲がいくつかあるんですが、今回リリースしたシングルのコンセプトは『冬らしい凛とした肌触り』なので、僕が目指すサウンドとはちょっと違う。尤も、今作は僕らのアートというよりもファンへのプレゼントに近い意味合いがあるので、こうして作品をリリース出来ることにとても喜びを感じています。

 あなたとしては、もう少し自分の音楽性を発揮出来るような曲をリリースしたかったようですね。

A: その気持ちはありますね。けど物事には全て最良のタイミングがあると思っていて、今は僕が自己主張をすべき時ではない。それだけのことです。

 なるほど。

A: 僕らは皆まだ個人のサウンドとグループとしてのサウンドの方向性を色々と試しているところなんです。その過程で生まれた「とにかくポップで良質な曲」をファンの皆さんにお届けする。これが、僕らが今一番大事にしている目標ですね。

 素晴らしいと思います。音楽の方向性が違うことを理由にメンバーが脱退・解散するケースはバンドやグループでは枚挙に暇がないですが、BNAの場合は安泰ですね。

A: そうだといいんですけどね(笑)。なにぶん皆主張が強いので、最終的に出来上がる曲がどういった形になるのか誰も想像がつかないんですよね。水沢さんの中ではある程度青写真が出来てはいるみたいなんですけど。けど、その不確かさみたいなものは裏を返せばそれだけ色んな方向性に向かうことが出来るということでもある。それこそ僕らの魅力だと思うので、大事にしていきたいなと思ってますね。

 

 ケンイチ、今日は忙しい中お時間をいただきありがとうございます。

K: 僕も久々のインタビュー、楽しみにしてました!今日はよろしくお願いします!

 以前他のメンバーや水沢さんと合同でインタビューをした時に比べて雰囲気が明るくなったように感じますね。

K: 本当ですか?嬉しいですね。あの時のことはハッキリ覚えてます。正直、まだこの仕事に慣れていなくて何をどんな風に話せばいいのか迷ってましたね。

 確かにそのような印象を受けました。他のメンバーから「ケンイチはよく喋るし頑固だ」という話を聞いてもにわかに信じられなかったのを覚えていますよ。

K: ですよね(笑)。あの頃だとちょうどメンバーと水沢さんの前でやっと腹を割って話せるようになったくらいでしたから。あらゆるやり取りが僕の母国語ではない英語で交わされているっていうのもありましたけど、今思うとそれを理由にして自分の中でバリアを張ってしまっていたんだと思います。

 自分が生まれ育った地を離れて、それも海外で活躍するというのは並大抵のことではないと思います。特にあなたのような若い年齢で。

K: ありがとうございます。けど今は、音楽をはじめとして色んな表現がボーダーレスで手軽になっています。それは作品が国境を越えるという意味もありますが、アーティスト自身も作品と同じくらい軽やかに国境を含めてあらゆる境界線を越えていかなければいけないということを意味していると思います。そういう意味では、今の僕はすごく恵まれていると思います、言葉の壁や文化の壁を越えて仲間やファンと交流出来る機会に恵まれて。

 素晴らしい心意気ですね。今回のシングルではバックアップに回っているのも、そういった心境の変化が関係しているのでしょうか。

K: 確かに、前作のEPでは結構僕自身の意見を反映させた部分が多かったですもんね。けど前回も今回も「みんなで良いものを作ろう」というモチベーションが一番大事なものとしてあるので、僕のパートが少ないことはあくまでたまたまなんです。スカイラーやティモシーの表現が、他のメンバーのそれよりも曲とマッチしていたというだけで。

 なるほど。ケンイチとしては、BNAは今後どのような方向に進んでいくと思いますか。

K: それはすごく難しい質問ですね。正直、僕自身今は毎日目が回るような忙しさで、まるでジェットコースターに乗っているみたいな気持ちです。それぞれのメンバーが目指す音楽性も違うしプロデューサーである水沢さんが理想とする形も別にある。けれど僕らが一番にしたいと考えているのはファンの皆さんが求めるものです。僕らがそれぞれ目指す方向性を反映させながら、「どうしたらファンの皆さんが喜んでくれるか」を一番に考えて進んでいくと思います。

 

 ティモシー、今日は忙しい中インタビューにお時間をいただきありがとうございます。

T: こちらこそありがとうございます。

 現在もデビューアルバムのために制作を続けていると伺いました。

T: そうなんです。レイチェルが次々に曲を作ってくれるので、僕らはそれをレコーディングするのに必死で。彼女は求めるレベルが非常に高くて。レイチェルが歌うデモを聴いて「良い曲だな」と思ったものでも、僕らが歌ってみてしっくりこない曲はバンバン没にするんです。多分お蔵になった曲だけでアルバム5枚分くらいになると思います。

 そんなにたくさんの曲を作っているんですね!

T: はい(笑)。

 今回あなたがリードをとっている『Was Yours』はどのような曲なのでしょうか。

T: この曲は、誰しもが抱えるかもしれない喪失感について歌っています。人は色んなものを失いながら前に進みます。卒業して友人と離れる、恋人と別れる、親が亡くなる。それだけでなく、自分自身の若さや夢や希望といったものもいずれは去ってゆく。そういった、何かかけがえのないものを失った時の気持ちを凝縮しています。中々に暗い題材ですよね(笑)。

 歌詞に「16歳の頃よりも強くなれると思ってた」という部分がありますが、最年少で15歳のあなたがこの歌詞を歌うことに違和感はありませんでしたか。

T: その部分はレイチェルと頭を悩ませた部分ですね。言葉の響きとしてはこのままが一番きれいだというのはみんなの総意でしたが、今の僕が歌うとどうしても説得力に欠ける。だからこの曲を歌っている時の僕は、自分が25,6歳くらいだと思いながら歌っています。言葉の内容としては説得力に欠けても、曲が持つエモーショナルな面にはすごく共感出来たので。自分の心情を曲に重ねて歌いました。こういう業界で働いているからか、僕らは普通の人に比べて大人になる速度が速いと思うんです。自分でもそれは感じていて、だから自分の表現が実年齢以上の深みを帯びていたらいいなと思ってます。そうやって自分で試行錯誤したテイクが結果として使われているので、アーティスト冥利に尽きますね。

 水沢さんが仰ってましたが、あなたとスカイラーはどこか似た雰囲気がありますね。一見性格は全然違うのに、共通する「憂い」のようなものを感じます。

T: ありがとうございます。誉め言葉として受け取らせてもらいます。僕らもそれはレイチェルから指摘されていて。理由はなんとなくわかりますが、それはこういう場でお話するような内容ではなくて。けど僕もスカイラーも、自分達の表現に「味がある」んだと思っているので。意識せずにそういった独自性が出ているのは強みだなと感じてます。

 この曲をシングルとしてリリースするという水沢さんの采配について、何か思うところはありますか。

T: とてもありがたいと思っています。この曲はレコーディングがとても大変でした。気持ちが入りすぎて過呼吸を起こしてしまって、レコーディングを止めてもらうこともあったりして。それに、やはり曲そのものも歌詞もダークなのでボーイバンドとしてあまりシングル映えしないなと思ってて。けど僕らのアーティストとしての面を大きくフィーチャーしたものになっているので冒険だな、と思っていて。そんなところがレイチェルらしいというか(笑)。ファンのみんながどんな反応をしてくれるのか楽しみでもあり怖くもありますね。

 現在制作中のアルバムについてはどんな手応えを感じていらっしゃいますか。

T: まだまだ模索中なので正直なんとも言えないです。けど色んなタイプの曲をレコーディングしているので、バラエティに富んだアルバムになると思います。早く皆さんに届けられる日が来るのが待ちきれないです。

 最後になりますが、デビューアルバム以外でもいくつかプロジェクトが進行しているとか。

T: 僕らは常に複数のプロジェクトを進めています。良い音楽を作るのには時間とエネルギーがかかります。けどそれだけでは足りません。「こういう曲を作りたい」という情熱が最初にないと、出来上がったものは中身のないただの音になってしまう。情熱が沸く方向はその日の気分によってまちまちです。だから、常に色んなプロジェクトの枝を伸ばし続けています。その中で、綺麗な花が咲いたものから皆さんにお届けする。僕にとってのアート活動はそんなイメージになってます。デビューアルバム含め、今後の僕らBNAの活躍にご期待ください!

Was Yours

Thought there I could be the one to lie beside you.

Thought that I was only going way up.

Thought that I could be stronger than i was 16.

Although people keeps telling me I’m blind.

 

Every single time I feel your shadow sneak up on my mind.

I could feel the air around me gone away.

Although I was the one to speak up when someone throw a stone.

Your only two words shot through my lungs.

 

Thought that I, was yours. was yours.

Am I here? Cuz my feet can’t feel the ground.

 

What did I ever do to make things this ugly.

Did you ever feel me treat you any wrong?

What would we have been if I stay where the place that you call home.

Did you ever think what I have been through.

 

Every single time I feel your shadow sneak up on my mind.

I could feel the air around me gone away.

 

Thought that I, was yours. was yours.

Am I here? Cuz my feet can’t feel the ground.

 

Just promise me you won’t regret, cuz it’ll might be a too little too late.

Oh what you did what I did was so imperfect in the perfect way.

I was waking up until the dawn cuz my naive mind thought tomorrow will be better.

Now I know, I didn’t stand any chance.

 

Thought that I, was yours. was yours.

Am I here? Cuz my feet can’t feel the ground.

 

Thought there I could be the one to lie beside you.

Thought that I was only going way up.

Fell In Love With A Fool

This is how the story begins.

I was crawling in the dark.

We were so out of luck.

And you were so know-it-all.

 

You seem to care about me like you are mine.

And I could be easily losing my mind.

This was never be something from the beginning.

 

We Are

Craving each other and

Correspond our bodies

Collide into pieces all over again.

I reach out my hands then I

Push you right back I don’t

know what I wanna  do with your heart

Oh No

Looks like you just fell in love with a fool.

 

“It’s not you, it’s all my fault”

You said it like it’s weather report.

Cuts like knife deep into my heart.

But I knew this very from the start.

 

You seemed to care about me like you are mine.

But You always treated me like I’m a child.

But I knew you better than you know me that’s why you are here.

 

We Are

Craving each other and

Correspond our bodies

Collide into pieces all over again.

You reach out your hands then you

Pushed me right back I don’t

know what you wanna do with my heart.

Oh No

Looks like I just fell in love with a fool.

 

You seem to care about me like we’re in love 

But I know we are never be good enough

So how come you are right in front of me to make love to me

 

We Are

Craving each other and 

Correspond our bodies.

Collide into pieces all over again.

I reached out my hands then I 

Push you right back I don’t 

know what I wanna do with your heart

Oh No

Looks like you just fell in love with a fool.

Oh No

Looks like I just fell in love with a fool.

音楽業界に於ける女性とは、その3

タイトルは、今年6月にリリースとなったロサンゼルスの姉妹バンドHAIMのサードアルバムの(ほぼ)直訳。

 

ハイム。

エスティ、ダニエル、アラナの三姉妹によるガールバンド。

2013年に超骨太でゴリゴリにグルーヴィーでロックなアルバムで鮮烈なデビューを飾った彼女たちもこれがもう3枚目のアルバムである。その間にカルヴィン・ハリス作品への客演やフロントウーマンである次女ダニエルのVampire Weekend作品への参加、ツイッターでのハロウィン動画のバズなど大小様々な作品を残してきた。

 

今作は、ファーストアルバムからのコラボレーターであるAriel Rechtshaidと、先に名前を挙げたVampire Weekendの元メンバーであるRostam Batmanglijと全てを作り上げた、彼女達の新境地である。

 

彼女達の特徴であるインディー的なキャッチーさはそのままに、ロスタムの影響なのか「ローファイさ」が増し増しになっている。

 

アタシにとって、ハイムのサウンドは「インディー的なポップネスがハードでタイトなビートに乗ってフェミニンかっこいいグルーヴを生み出している」みたいな感じだった。

今回のアルバムでは、その彼女達にとってのシグニチュアルなサウンドである”ハードでタイトなビート”がだいぶ抑えめになっているなっていう印象だった。

その代わり、様々な楽器の音色やサウンドエフェクトが聴こえてきて彼女達の守備範囲を押し広げている。

 

特に後半の楽曲群、「Leaning On Me」はFleetwood MacDixie Chicks改めThe Chicks(シタールのように聴こえる弦楽器はロスタムの影響を感じさせる)、「I’ve Been Down」の半分セリフみたいな歌い方はSheryl Crow、「Man From The Magazine」の即興っぽい録音と繊細なボーカルはJoni Mitchellを、それぞれ思い出させる、まさに「音楽業界における女性」へのリスペクトを込めて歌った良質なインディポップスといった趣。

 

最後尾に配置されている先行シングル群も、アルバム本編と比べるとラジオフレンドリーな音作りだったけれどこうしてアルバムの流れの中で聴いてみると意外としっくりくる(特に1曲目「Los Angeles」の最初に朝を告げるかのように鳴っていたトランペットの音がラスト「Summer Girl」の後半から終わりにかけて、夕陽が沈んでいくように爽やかに寂しげに響くのは心憎いプロダクションだと思う。どちらもロスを題材にした曲だし)。

 

 

ミュージックビジネスの最前線で活躍してきた偉大な女性アーティスト達への密やかなオマージュともとれる作品で、今の自分達の立ち位置を誇りを持って歌い奏であげる。

 

 

インディーロックのアルバムとして客観的に素晴らしい

 

「Walking Away」や「Falling」みたいに独特の強めのグルーヴとR&Bの影響を感じさせる彼女達が好きなアタシとしては、そこそこ好きかな、くらい

 

 

 

アルバムの内容なそんな感じなんだけど、、、

 

今回、アタシが言いたいのは

 

オフィシャルサイト!アンタ仕事遅過ぎなのよ!!!!!

 

アルバムとグッズとのバンドルで購入したんだけれど、アルバム発売が6月下旬、商品が届いたのが9月最終週

 

完全に忘れ去られてると思ってカスタマーサービスにめちゃめちゃメールを送ってしまったわ。

 

結果的にアルバムもグッズのマグカップも綺麗な状態で届いたから結果オーライだけれど、オフィシャルサイトでこのスピード感であることを考えると、やっぱりフィジカルで音楽を聴こうとすることは加速度的に時代遅れな行為になっていっているなと感じたわ。

 

「Albums, remember those? Albums, still matters」とはプリンスの言葉だけれど、彼はインターネット経由での音楽流通に早くから着手していたわ。”アルバムを聴く”ということそのものはまだまだ健在だとしても、その方法に関しては今は色々な方法がある。

 

時代に置いていかれないようにしないといけないのかしら。めんどくさいわね。

 

 

以上よ。

自分には何が出来るのか

アイルランドの兄弟バンドThe Corrsの曲に「What Can I Do」というものがある。手放してしまった相手に「どうしたら私はあなたを幸せに出来るの?どうしたらあなたに気にかけてもらえる?」と健気に訴えかける静かでアイルランドらしい瑞々しさがある楽曲だ。

 

結局のところ、そんな問いに答えなどないのだ。恋も仕事も、そして創作活動も。「誰かを幸せにするため」というのが第一の目標になった時、人は自分自身のモチベーションの根底を非常に危ういものにしてしまっていると常々思っている。

そっちの方が生きるうえで簡単な時はある。「あなたの喜ぶ顔が見たくて」「誰かに評価されたくて」「いいねがほしくて」。

気持ちはめっちゃくちゃわかる。自分がしたことによって誰かに「嬉しい」「あの仕事、よかったよ」「あの曲、すごくよかった」って言われる時の快感は代替の効かない心地よさがある。まるで自分という人間の殻を破って、自分の行動が、仕事が、作品が、人の営みの最も崇高な部分の一部に昇華したかのような。ざっくり言えば「認められた」感覚。

「承認欲求が〜」などと斜に構える必要は全然ない。集団で生きている人間という生き物の性質上、その集団に受け入れられる経験というのは自分自身の健康的な活動のために不可欠だと思うから。

 

自分も、音楽活動やブログや小説を世に解き放っている身としてはそういった承認欲求がある。しかし何かしらを世に出す度に、もっと言ってしまえば制作段階から「この曲はあの曲ほどうまく出来ていない」「この文章はあの人の文章よりもとっちらかって薄っぺらい」と感じて落ち込むことがめちゃくちゃある。

 

上には上がいる。得意不得意はある。

それでいいじゃないか、それが人だ。他人と比べずに自分のベストを尽くそう。そう言うのは簡単だ。そしてそれを心から信じて我が道を行く事がどれほど難しいことか。

 

そこで思ったの。「アタシが目指すところ」って、どこ?「アタシが歩みたい道って、何?」って。

ブログや楽曲制作、小説執筆は今のところ一切お金になっていない。リーチしているオーディエンスも本当に少数だ(その中でこれを読んでくれているアナタ、本当にありがとう!大好き!!)。

そうなってくると、こういった創作活動でアタシがどこを目指すべきかが自分の中でも曖昧になって、最終的には「こんなことして何になるんだろう」って気持ちになる。

 

で、思い出したの。

アタシが洋楽を聴くきっかけになった出来事を。

もうずっと前のこと。家で一人でいる時になんとなくテレビを点けたらMステをやっていて。ちょうど歌が始まったところだったんだけど、アタシはそこに映っているアーティストを見てぶっ飛んだわ。葉っぱで出来たビキニ姿、髪型はみんなド派手で肌は小麦色。Destiny’s Childが「Survivor」をパフォーマンスした伝説回だった。

当時、英語なんかわからなかったし彼女たちが何者なのかも全く知らなかった。ただ「アモッソバーバー」というよくわからないけどめっちゃくちゃ耳に残るフレーズとこれまで聴いたこともないような力強い音楽、それに強烈なビジュアルイメージに完全にノックアウトされた。ビヨンセが誰か、これまで何曲のヒット曲があるか、プロデューサーは誰か。そんな情報など全くなくただ目の前に出された音楽とアーティストの御姿とダンスだけ。

アタシを音楽との恋に落とすのにはそれだけで十分だった。最強にポップでキャッチーなルックスと楽曲、そこにあるパワーに圧倒された。語彙力なんかどこかにすっ飛んでたわ。

 

アタシが目指すのはそこ。アタシにはそれしか出来ない。

どこまでもポップでキャッチー。アタシにBjorkRadioheadみたいな曲は書けないし、色んなメディアに寄稿している#BitchVogueメンバーみたいに凝ったカッコいい文章は、多分書けない。

だからこそ、アタシは自分が聴きたい音楽、自分が得た感動、そういったものをストレートに表現していこうと思う。

 

「誰かのため」「誰かみたいに」っていうのは無理。そんな中でもしアタシの一番コアの部分から出てくるものに触れて「あ、これ良いな」って思ってもらえることがあったりしたら、それこそが本当の「アート体験」なんじゃないかって、そう思うの。

 

久々におセンチな気分になってしまったわ。

 

今日はこのへんで。

 

 

P.S. Don’t forget to stream “Chapter 0: The Awakening” by Brand New Animals