Golden Phoenix Awards 2021
2021年12月21日付のBillboard Hot 100の1位は一体どんな曲なのか、これを読んでいる方々は多分ご存知なんじゃないかと思う。
そう、押しも押されぬ超ド級クリスマスアンセム、マラ様の"All I Want For Christmas Is You"である。
リリースは1995年。数年前にあったビルボードのチャート集計方法の変更(毎年何回か変えているからもう何がどう変わったのかよくわからないのですが、、、)により、突如として毎年クリスマス前からHot 100チャートを駆け上がるようになったこの曲。もっとも、集計方法が変わる前からこの曲がホリデーシーズンには世界中で聴かれていることは周知の事実だったわけで。
Golden Phoenix Awardsは毎年、このビルボードチャートの集計方法を踏襲しております。
つまり「今年レイチェル・水沢にとってアツかった曲・アルバムであるか」だけが順位の基準となっております。
それを念頭に置いてご覧ください。
なお、便宜上順位をつけていますが実際はどの作品も等しく大好きです。水沢の知的活動限界の関係で作品数が非常に中途半端になっていることをお詫び申し上げます(ガガ様がNews Zeroにご出演なさった時のお辞儀の写真)。
Song部門
31 Gwen Stefani feat. Saweetie "Slow Clap"
グウェン姐さんの初期ヒット作に通ずるレイドバックしたトラックとバウンスするようなヴォーカルがクセになる良曲。
30 Jesy Nelson feat. Nicki Minaj “Boyz”
瞬間最大風速が今年一番だったBanger。ソロになって表情のアクが強くなったわね。最高よ。この曲きっかけでサンプリング元のP. Diddyの曲を初めて聴きました。
29 Zara Larsson “WOW”
最近逆に珍しい、ギラついた女性ポップシンガーを地でいっていてとても良いです。アルバムの中ではこの曲が特に耳に残りました。
28 Diane Warren, Rita Ora, Sofia Reyes & Reik "Seaside"
これを聴いて、「そういえばヲラ様ってまだレゲトンやってなかったな」と思い出しました。今年も小粒でポップな楽曲を量産してくれたヲラ様だけど、この曲が一番好き。
昨年くらいに"R.I.P"で共演済みのSofia Reyesとの再コラボ。
27 Jade Anderson "Sugarhigh"
2002年発表のポップソング。この曲がHot 100で96位だったのとアルバム『Dive Deeper』が日本でちょこっと売れたこと以外に特に活動履歴がハッキリしない方なんだけど、この曲の妖しいメロディとプロダクション、キュートな歌声がクセになる。
26 Will Young “Missing”
曲が良いんだよ。この曲をカバーするのはズルいよ。ウィルの繊細なヴォーカルとの相性も良い。
「運転免許証」や「よかったね」と並べるとロドリ子の音楽性の幅広さをまざまざと感じて「すげーな、、、」と言ってしまう。LordeやBillie Eilishの系譜にあたる、肩の力が抜け切った軽めのヴォーカルから始まって結局「運転免許証」的な力強いオーラスに向かう構成が、二番煎じかと思いきやプロダクションはこっちの方が好みでした。
24 Nick Jonas “Space Man”
肉ジョナによる最新アルバムは全編シームレスで仄かに繋がっているコンセプトアルバム。音自体は流行りにサラッと乗っかっていて、まあ言っちゃ悪いが「可もなく不可もなく」。チャートアクションも最近あまりパッとしなくなってきている中で、それでも一流ポップシンガーとしてのプライドを感じる良曲。
23 ゆっきゅん "DIVA ME"
「そうだ、アタシDIVAだったわ」という大事なことを思い出させてくれた最高のヲキャマラスBanger。だってあんたがあんたがDIVA #写経
22 Justin Bieber feat. Daniel Caesar & Giveon “Peaches”
Viva男にとって、去年のアルバムのセールスが振るわなかったことへのリベンジを見事に果たした象徴のような一曲。客演が多いけど、ごめんなさいあんまりそこはわからない。この曲も浮遊感のあるディスコテックなサウンドで、流行りをバッチリ押さえている。「良いかい?ポップスターってのはこうやるんだよ」と言っているようにさえ聴こえてくる。
21 Ed Sheeran "Bad Habit"
結局アルバムを聴いてしまったわ。全体を通すとアルバムというよりも楽曲集という印象だったけど、"Shiver"等良いと思う曲もチラホラあって、伊達に売れっ子ソングライターやってないなといった印象。
20 Glass Animals "Heat Waves"
今年一番のダークホース的ヒット。Post Maloneの『Hollywood's Bleeding』に入っていてもおかしくないくらいのトラップ感。バンドの定義を考え直す時期なのかも。
19 Little Mix “No”
ベストからのセカンドシングル。あまりヒットしなかったのが残念。彼女達のfierceでunstoppableなヴァイブスと笑目似恵子らしいブロダクションが鬼に金棒なブチアゲソング。
18 Wolf Alice “Smile”
開始2秒でオルタナロックは健在だということを思い知らせてくれる爆発力。
17 UKI EYE "Living Art (Album Mix)"
間違いなく脳内再生回数年間1位だったわ。今年は他にも強力な新曲が多数発表されている件のアーティストだけど、結局アタシはここに帰ってきてしまった。全世界に聴いてほしいブチアゲアンセムよ。
16 Girls Aloud "Something New"
この曲こそ、アタシにとってのマラ様のAIWFCIYよ。いつ聴いても新鮮な気持ちでブチアガることが出来る最高な曲。
15 Cardi B “Up”
I know that's right!!!
14 Britney Spears "Swimming In The Stars"
アルバム『Glory』制作時のセッションにて作られた未発表曲。今年の年始に正式リリースされたこの楽曲、タイトル通り夜の海をたゆたう様な厳かで静かなカタルシスを呼び起こしてくれるポップソング。#FreeBritney 運動が実を結んだ今年のランキングに相応しいカッコいい曲です。まさかのバックスとのコラボという80,90's baby狂喜乱舞な"Matches"と併せて是非(こちらは楽曲としては普通だったかな、、、)。
13 Walker Hayes "Fancy Like"
今年のカントリーヒットと言えばこちら。ラップっぽいレイドバックした歌い方が今時のラジオリスナーを虜にした感じ、かしら。アタシはしっかりハマってしまいました。
12 GAYLE "abcdefu"
タイトルを見た時、思わず「その手があったか!」と唸ってしまった。Tik Tok向けな大合唱にピッタリのコーラス、元カレディスソングの系譜に見事に乗った最高なBanger。2021年は「運転免許証」に始まってこの曲で終わったなという印象。この2曲、サウンドの方向性以外は結構似てるんだよね。
11 Royal Blood “Typhoons”
Wolf Aliceと並んで今年のオルタナロックの顔。ちょっとR&Bっぽいファルセットが気持ち良いコーラスを聴いていると、ジャンル分けって本当にいらなくない?って気分になってくる。まあ意志の弱いアタシはジャンルにすがるしかないのですが、、、
10 Hannah Montana “I’ll Always Remember You”
ハンナはマイリーの成長に合わせて音楽性が進化している、とてもボーイバンド的なサントラの構成をしているのです。マイリーのルーツに寄せたこのカントリーパワーバラードは、「ハンナモンタナ」シリーズが終わりに近づいている寂しさをエモーショナルなヴォーカルが盛り上げてくれる最高な一曲なのです。
9 Steps “Take Me For A Ride”
世界中の全ての辞書の「大正解」という項目にこの曲を載せたいわ(それは1位の曲もなのですが、、、)。個人的に「Everybody Wants to Rule the Worldビート」と呼んでいる3拍子?の迫力あるリズムパターンでガナりポップスを歌われたら、降参するしかないんだよな。
8 Demi Lovato “I Love Me”
ジャケ写をmemeには使っていたけど曲をちゃんと聴いたのは今年に入ってから。なんでもっと早く聴いていなかったのだろう。コーラスでのビートのびっくりするくらいの緩急がもうたまらない。出見に「cuz I'm a black belt」って言われると「ですよね、、、」と返すしかなくない?
7 Lana Del Rey “When The World Was at the War, We Kept Dancing”
2014年発表のラナ様のアルバム『Lust for Life』収録曲。3月に新譜が発表されたタイミングで過去作品を改めてディグって、この曲の持つたおやかな妖しさとメリハリの効いたビートのコントラスト、退廃的で厭世的(この言葉も今年覚えました)なパワーフレーズに流れ着いたわ。
6 Anne-Marie & Little Mix “Kiss My (Uh Ooh)”
Lumideeの大ヒット曲を大胆にサンプリングした夏アゲソング。陽のエネルギーがすんごい。
5 宇多田ヒカル “One Last Kiss”
ヒカルが疾走感のある曲を歌った時、目の前にいる敵は全て消滅します。
4 Dua Lipa “Levitating”
去年Duaが『未来郷愁』をリリースする前から、メインストリームに於けるディスコサウンド回帰の流れは確実にあった(もっと言ってしまえばディスコサウンドが絶えたことは一度もないんだけどね。Jessica Simpsonの"A Public Affair"、皆好きでしょ?)。多分それはAdam Lambertが『Trespassing』でNile Rodgersを起用して、Daft Punkが『Random Access Memories』でダンスミュージックの枠を超えて世界を制した頃からの流れだと思う。けど、Dua Lipaは件のアルバムによって自身のアーティストとしてのステータスと2020年台におけるディスコの可能性の両方をネクストレベルへと押し上げた。この曲がLifehouseの"Hanging By A Moment"以来、「Hot 100で週間1位になってない曲が年間1位になった」という事実が、如何に彼女の音楽のリスナー数の裾野が広いかを物語っている。
3 Jennifer Lopez & Rauw Alejandro “Cambia el Paso”
今年もJLoはバッチリ仕上がっていました。今年大ヒットした(と伝え聞く)Rauw Alejandro君とサマーバンガーをリリースするスピード感にも平伏したわ。
2 Sara Evans “Niagara”
去年の年末、2020年の年間ベストを作った後に知ってしまって「年が終わるまでは何が起こるかわからない」ことを教えてくれたド名曲。カントリーバラードのマナーに則った構成とコード進行から急に滝登りの如くブチ上がるサビの盛り上がり方、「Fall in Love」の落ちるをナイアガラの滝とかける大仰だけど有無を言わせない力強さ。初めて聴いた時、2番のAメロあたりで「この曲のことは一生好きって言い続けるだろうな」と確信いたしました。
1 Kylie Minogue & Dua Lipa “Real Groove 2054 (Initial Talk Remix)”
人類史には蒸気機関、iPhoneなどの文明を一つ先の時代に押し上げるような発明が時々登場する。今年、人類は今後の歴史で永らく語り継がれるであろう新たな発明を目撃した。それがこちらです。
Album(EP)部門
14 Rita Ora 『Bang』
音楽以外の話題も豊富だったヲラ様。一方でコラボシングルを複数発表してご本人名義のEPまでリリースなさるなんて、畏敬の念を禁じ得ません。
13 Everything But The Girl 『Eden』
80年代の作品なんだけど、縁あって今年初めて聴くことに。"Missing"の印象が強いグループだけど、このアルバムは全編とても静か。ジョニ・ミッチェルやニール・ヤングを思わせるフォーキーさとモダンジャズやボサノバなどのリズム隊っぽいビートが妙に耳に残る。
それにしても、こんな静かなアルバムを選ぶなんてアタシも歳をとったもんだわ、、、
12 The Pretty Reckless 『Death By Rock And Roll』
ラウドロックの真骨頂。エアロスミスやボンジョヴィの全盛期かってくらいパワフルかつメロディアス。終盤にある、スティーブン・タイラーのソロ作品みたいなカントリー色の強いバラードがまた泣かせるんだ。
11 Taylor Swift 『evermore』
ヲ帝の底なしのクリエイティビティとHAIM三姉妹をフィーチャーしている最高に治安の悪い楽曲への献杯です。
10 UKI EYE 『C' est La Vie』
音楽的なアイデアやパワーワード、パワーフレーズの宝庫。リアレンジされた既出の楽曲がアルバムの流れにピッタリとハマっていました。「このおバカさんに恋してる」のピアノのイントロがめちゃくちゃエモいです。この世に存在するバラード、全てあのイントロで始めてほしい。「命短し恋せよDIVA」。 #2021isDIVA元年
9 georgia 『Seeking Thrills』
2020年作品。キュートでキッチュなヴォーカルと表情豊かなサウンドプロダクションがツボでした。
8 Speech Debelle 『Freedom of Speech』
リリースは2012年。ゴリゴリに尖ったフィメールラッパーのヴァイヴスは偶然にも2021年の空気にフィットしていると思う。
7 Kacey Musgraves 『star-crossed』
前作でケイシーが提示した、カントリーというジャンルの可能性を今作は更に深掘りしたような作品。
6 Will Young 『Crying on the Bathroom Floor』
カバーアルバムって、大抵よく知っている曲が違った形になるのを楽しむか自分のご贔屓アーティストが有名曲を歌っている豪華なカラオケ感にありがたみを見出すかだと思っているんだけど、このアルバムはまるでウィルが歌うためにテイラーメイドされたみたいに彼の歌声がスッと入ってくる楽曲ばかり。
5 Porter Robinson 『Nurture』
ザ・EDMという感じを期待していたけれど、その予想の斜め上を飛んでいくような快作。サウンドは俗に言うピコピコ音なのに、どこかアコースティックで爽やかな外の景色を感じさせる。Owl Cityの『Ocean Eyes』を思い出しました。
4 Demi Lovato 『Dancing With The Devil... The Art of Starting Over』
今年出た中で最も"圧"を感じたアルバム。冒頭3曲をイントロダクション扱いとしているけれど、どれも業の深いパワーバラードで出見のヴォーカリストとしての意地を感じた。アリアナやSam Fenderとのコラボなどボリュームも音楽的な内容も盛りだくさん。
3 Royal Blood 『Typhoons』
骨太なストレートロックなんだけど煌びやかなサウンド。
2 Stan Getz & Joan Gilberto 『Getz/Gilberto』
これはめちゃめちゃ昔のアルバム。「イパネマの娘」という曲、名前くらいはどこかで聞いたことがあるのでは。ブラジリアンボサノバの金字塔的作品を、今年初めて教えてもらって聴くに至りました。とてもとてもチルくてヘビロテしてしまいました。
1 Arlo Parks 『Collapsed in Sun Beams』
スラスラっと聴けてしまう。一聴すると地味なんだけど、その地味なグルーヴがとても心地良い。日向ぼっこをしているようなアルバム。癒される。
今年もたくさんの素晴らしい音楽と出会うことが出来ました。
ただ、個人的には「音楽に於けるSNS疲れ」を痛感した年にもなりました。次から次へとおすすめされる素晴らしい楽曲達に対して、アタシの時間は限られてしまっています。その中で出来る限りたくさんの音楽と出会いたい、けど一度出会った音楽を繰り返し聴いて自分の血肉とする前に新しい曲に出会ってしまう。贅沢な悩みですね。
来年も、自分のペースで色んな音楽と触れ合っていきたいと思います。