GoldenPhoenixRecords

Rachelle・水沢よりアナタへ

Golden Phoenix Awards 2022

年間ベスト記事を形にしようと思って久々にブログにログインしたら、前回の更新が去年の年ベスな上に今年よりも熱量が高くて、自らの感情的衰えに怯えています。

 

本当はもっと早いうち、少なくとも12月20日くらいまでには完成させるつもりだった年間ベスト。パーソナルな諸問題により年末のこんなギリギリになってしまいました。マジでLife Is A Bitch、、、。

 

 

アルバム

 

10位 『January Joy』 by Mashonda

2005年にR&B歌手マションダが日本でだけ発売したデビューアルバム。優しい歌声とビヨンセの『B’ Day』の頃に通ずるサウンドが懐かしくてツボってしまいました。当時の旦那だったSwizz Beatzが数曲参加しているが、それらの楽曲のプロダクションが Beyの「Get Me Bodied」等に活かされているのを感じた、音楽業界の悲喜交々な人間事情を感じさせる味わい深い作品。幸せになって、、、。

 

9位 『Black Radio 3』 by Robert Glasper

コンテンポラリージャズの気持ちいいリズミックさ・スムースさとヒップホップ的なビートやフロウ、アダルトR&Bとでも言えそうなシルキーなヴォーカルプロダクション。最新トレンドに明るくない自分でも「かっこいいな、聴いてて気持ちいいな」と思える上質なアルバム。「Everybody Wants to Rule the World」のカバーをこんなかっこよくやられたらもう降参です。

 

8位 『Harry’s House』 by Harry Styles

どこを取っても誠にハリー様らしい。電子音楽が流行り出す前の70年代ロックに近い肌触りの音と耳馴染みの良いメロディ。シンプルなのにどこかヲ帝の『1989』に通ずる、「金かけて作ったんだろうな」と感じさせるプロダクション。

 

7位 『Land of Dreams』 by Mark Owen

マークのアルバムはいつもとても気持ち良いポップネスを持っているなと思う。彼の声に似合う、メランコリーなんだけどドライでサラッとしたメロディが、狙ってやっているのか自然に湧き上がってくる彼独特のメロディセンスなのか、なんか良いのよね。

 

6位 『The Loneliest Time』 by Carly Rae Jepsen

Queen of インディ・ポップはカーリーなんです!Rufus Wainwrightをソングライターとしてもシンガーとしてもフィーチャーしながらカーリーらしいキュートなポップスになっているのもすごいけど、「Western Wind」のインディーロックな雰囲気が思いの外ハマっていて素晴らしかった。彼女の声はそれだけでもうポップネスに溢れている。最強。

 

5位 『Bridges』 by Calum Scott

ライブを観た贔屓目もあるかもしれない。けど今年、このアルバムが自分にとって一番「メロディーが綺麗な正統派ポップアルバム」でした。「Biblical」とかのシングル曲を聴いてた時は「この人マジでバラードしか歌わんな、、、」と思っていたけど、アルバムにはアップテンポな曲もあって結果的に丁度良いバランス感覚で、バラエティに富みながらもうまくまとまったポップアルバムになっている。それでいて「Boys in the Street」のようなクィアソングがあるんだから、面白さを感じないわけにはいかなかった。

 

4位 『Good Morning Gorgeous』 by Mary J. Blige

R&Bはメアリーに歌ってもらっておけば全て上手くいくねん、、、。デラックス盤の「Gone Forever」、悔しいけどめっちゃカッコいいねん、、、。

 

3位 『Starfruit』 by Moonchild

破茶滅茶にチルくて最高なんです。こういうバンドがフジロックのField of Heavenと相性良いんだろうなって思いました。メロディはあんまり耳に残ってないんだけど、アルバム全体のチルいサウンドの統一感とヒップホップなリズム感がロバート・グラスパーに近いヴァイブスで、けど全体を通しての心地よさとイヤフォンで聴く時の音の刺さり方ではこちらの方が上だったかも。まあ音楽に上も下もないですが。

 

2位 『Hold The Girl』 by Rina Sawayama

アルバムのテーマが自分に刺さったというのもあるけど、単純に素晴らしいポップソングがたくさん入っているので最高です。「Hold The Girl」から「Catch Me In The Air」までの流れは今年一番聴いていてパワーをもらえる流れでした。クィアな面のあるRINAがStuart Priceと仕事するの、「そうであれ」すぎるの、、、。

 

1位 『Marry Me: Original Motion Picture Soundtrack』by Jennifer Lopez & Maluma

今年の最強どちゃくそ神KUSOポップアルバム。ダントツで今年一番聴きました。JLoの久々のまとまった楽曲集というだけでブチアゲなんだけど、主題歌の「Marry Me」の最強キャッチーなコーラスとJLo&Malumaという豪華ラテンコラボによるアクの強い歌声よ。最初の印象では普通なバラードだった「On My Way」も、ラストの「Hooo、hooowooo」を一緒にファルセットで歌いたくなる中毒性がある。曲の構成も絶妙に凝っていて、それでいてポップなのよね。「Church」、何?「Church, church, church, church」って?「長い間探していた、アタシを抱きしめてくれる一番愛しい人。それは自分自身だと気づいたの」(Love of My Life)。は? #最高 #queenofDIVAness #わかる

本編ラストの「Nobody’s Watching」が軽やかなレゲトンなのもアルバムの構成として最高。

ありがとうジェニファー・ロペス。来年もよろしくお願いいたします。

 

 

ソング

 

15位 「Loud」 by Sofia Carson

張り上げ系ポップスの最新版。「Loud!」って歌うところが一番うるさいの最高。

 

14位 「Girl Like That」 by O-Town

2002年のUSボーイバンドによるアルバム収録曲。たまたま借りて「ずっと似たような曲が続くな」と思っていたらめちゃくちゃカッコいいY2Kボーイバンド曲が出てきてビックリしちゃった。

 

13位 「About Damn Time」 by Lizzo

ディスコテックでキラキラしていて歌い出しが「今はビッチ時ビッチ分よ(訳:Rachelle Mizusawa)」なの、もう降参よ。

 

12位 「I Hope It’s You」 by UKI EYE

曲の構成も音の広がりも色彩豊か。「Happy birthday to ME!」な多幸感に溢れたサウンドなのに歌詞は一筋縄ではいかない人生にそっと寄り添ってくれるような内容になっていて、欲張りで贅沢なDIVAらしい楽曲。

 

11位 「Her」 By Megan Thee Stallion

コーラスにメロディなんか要らない。強烈なフックとなるフレーズとヴァイブスがあれば踊り明かせることが証明されてしまった。

 

10位 「Western Wind」 by Carly Rae Jepsen

カーリーの引き出しの多さに驚くだけでなく、この一見地味だけど乾いた風のように気持ち良いサウンドを先行シングルに持ってくる彼女の胆力が最高。やりたい放題してるんだろうな、って感じます。

 

9位 「Denim & Rhinestones」 by Carrie Underwood

今回のアルバムはイマイチ爆発力に欠けてた感が否めないキャリーだったけど、冒頭のタイトルトラックは力強くてキラキラしていて、2022年のサウンドQueen of カントリーが歌うとこうなるっていうのを堂々と示してくれた。

 

8位 「Give That Wolf A Banana」 by Subwoolfers

ユーロビジョンで見て聴いて一発で好きになってしまいました。どキャッチーでふざけた感じなんだけど、一度見たらもう忘れられないわ、、、。

 

7位 「Break My Soul」 by Beyonce

今回のアルバム、めちゃくちゃ評価が高いのは分かるしキャッチーさも文化的奥行きも分かるんだけど、自分にはあんまり刺さらなかったの。けどこの曲によるワールドワイドなグルーヴは分かってしまった。爆踊り必至。

 

6位 「This Hell」 by Rina Sawayama

シャナイアのリファレンスで始まるカントリーロック。保守的なサウンドをギラついたロックに結びつけてダンスフロアをぶち上げる。あらゆるジャンルレスを象徴する今年の最重要楽曲。

 

5位 「Drum」 by Sugababes

年末に届いた今年一番のトンデモSurprise。こんなにも「生きててよかった」を引き出したリリースをアタシは他に知らない。MNEKっぽい曲だなと思ったらMNEKでした。

 

4位 「Beg For You」 by Charli XCX & Rina Sawayama

今年は2ステップがアツいんだなっていうのを音楽消費者末端の自分にまで届けてくれた最強キャッチーソング。セルフメイドDIVAな二人が組んでブチアゲフロアアンセムを引用してしまったら、それはもう”おしまい”なんです。

 

3位 「Super Freaky Girl」

イニ、ミニ、マニ、モ!!! 素晴らしく鬼ポップで鬼キャッチーなディスコグラフィのニッキーの中でもダントツにキャッチーで楽しい。ここに来てクオリティでもチャートでもキャリアハイを叩き出すQueen。Kim Vaniaさんを知るきっかけになった楽曲でもあり、特別な思い入れがあります。

 

2位 「If You Ever Change Your Mind」 by Calum Scott

この、「青空の下を顔を上げて歩く時に聴くのにピッタリな感じ」、大好きなんです。Imagine Dragonsの「Walking on the Wire」と同じヴァイブス。ライブで聴いたのがはじめましてだったんだけど、一番のBメロあたりで「あ、この曲はマジで好きなやつだ」とビビッと来たね。

 

1位 「Marry Me」 by Jennifer Lopez & Maluma

歌手は「キャット&バスティアン」の方が正しいかしら。

もうこの曲が今年の1位になることは一年以上前から分かっていたことなんですよ。「Pa Ti / Lonely」のPVラストに一瞬だけ流れるコーラスの一部を聴いた時から「この曲は最高になる」と思っていたけど、やっぱり最高でした。「Will you marry me?」なんて質問しないんです。「結婚しなさい。『はい』と言いなさい。」なんですDIVAは。

 

選外1位 「まつり」 by 藤井風

J-R&Bとしてめちゃくちゃカッコよかったけど、パーソナルな事情により1週間しか聴けなかった曲。曲としては好きなんだけど、これを聴くと当時のことを思い出して悲しくなってしまうので。 #bye

 

例年に比べてだいぶ数を絞りました。

新しい音楽をあまり聴かなくなってしまったなと思うけど、考えてみればこれまでの人生で集めてきた楽曲達をもっと聴き込むことも同時にしなければいけないんだからしょうがないんです。

選外でも好きな曲はいっぱいありました。NewJeansもKep1erもTXTも良かったし、澄子とキム子の「汚れ行為」も素晴らしい。某ポッドキャストで知ったCharlie Puthの「Girlfriend」を聴いて「やっぱりチャリプーは才能の塊だな」と改めて思ったりもしました。

 

来年もたくさんの素晴らしい音楽に恵まれますように。

Golden Phoenix Awards 2021

2021年12月21日付のBillboard Hot 100の1位は一体どんな曲なのか、これを読んでいる方々は多分ご存知なんじゃないかと思う。

そう、押しも押されぬ超ド級クリスマスアンセム、マラ様の"All I Want For Christmas Is You"である。

リリースは1995年。数年前にあったビルボードのチャート集計方法の変更(毎年何回か変えているからもう何がどう変わったのかよくわからないのですが、、、)により、突如として毎年クリスマス前からHot 100チャートを駆け上がるようになったこの曲。もっとも、集計方法が変わる前からこの曲がホリデーシーズンには世界中で聴かれていることは周知の事実だったわけで。

Golden Phoenix Awardsは毎年、このビルボードチャートの集計方法を踏襲しております。

つまり「今年レイチェル・水沢にとってアツかった曲・アルバムであるか」だけが順位の基準となっております。

それを念頭に置いてご覧ください。

なお、便宜上順位をつけていますが実際はどの作品も等しく大好きです。水沢の知的活動限界の関係で作品数が非常に中途半端になっていることをお詫び申し上げます(ガガ様がNews Zeroにご出演なさった時のお辞儀の写真)。

 

 

Song部門

 

31 Gwen Stefani feat. Saweetie "Slow Clap"

グウェン姐さんの初期ヒット作に通ずるレイドバックしたトラックとバウンスするようなヴォーカルがクセになる良曲。

 

30 Jesy Nelson feat. Nicki Minaj “Boyz”

瞬間最大風速が今年一番だったBanger。ソロになって表情のアクが強くなったわね。最高よ。この曲きっかけでサンプリング元のP. Diddyの曲を初めて聴きました。

 

29 Zara Larsson “WOW”

最近逆に珍しい、ギラついた女性ポップシンガーを地でいっていてとても良いです。アルバムの中ではこの曲が特に耳に残りました。

 

28 Diane Warren, Rita Ora, Sofia Reyes & Reik "Seaside"

これを聴いて、「そういえばヲラ様ってまだレゲトンやってなかったな」と思い出しました。今年も小粒でポップな楽曲を量産してくれたヲラ様だけど、この曲が一番好き。

昨年くらいに"R.I.P"で共演済みのSofia Reyesとの再コラボ。

 

27 Jade Anderson "Sugarhigh"

2002年発表のポップソング。この曲がHot 100で96位だったのとアルバム『Dive Deeper』が日本でちょこっと売れたこと以外に特に活動履歴がハッキリしない方なんだけど、この曲の妖しいメロディとプロダクション、キュートな歌声がクセになる。

 

26 Will Young “Missing”

曲が良いんだよ。この曲をカバーするのはズルいよ。ウィルの繊細なヴォーカルとの相性も良い。

 

25 Olivia Rodrigo "deja vu"

「運転免許証」や「よかったね」と並べるとロドリ子の音楽性の幅広さをまざまざと感じて「すげーな、、、」と言ってしまう。LordeやBillie Eilishの系譜にあたる、肩の力が抜け切った軽めのヴォーカルから始まって結局「運転免許証」的な力強いオーラスに向かう構成が、二番煎じかと思いきやプロダクションはこっちの方が好みでした。

 

24 Nick Jonas “Space Man”

肉ジョナによる最新アルバムは全編シームレスで仄かに繋がっているコンセプトアルバム。音自体は流行りにサラッと乗っかっていて、まあ言っちゃ悪いが「可もなく不可もなく」。チャートアクションも最近あまりパッとしなくなってきている中で、それでも一流ポップシンガーとしてのプライドを感じる良曲。

 

23 ゆっきゅん "DIVA ME"

「そうだ、アタシDIVAだったわ」という大事なことを思い出させてくれた最高のヲキャマラスBanger。だってあんたがあんたがDIVA #写経

 

22 Justin Bieber feat. Daniel Caesar & Giveon “Peaches”

Viva男にとって、去年のアルバムのセールスが振るわなかったことへのリベンジを見事に果たした象徴のような一曲。客演が多いけど、ごめんなさいあんまりそこはわからない。この曲も浮遊感のあるディスコテックなサウンドで、流行りをバッチリ押さえている。「良いかい?ポップスターってのはこうやるんだよ」と言っているようにさえ聴こえてくる。

 

21 Ed Sheeran "Bad Habit"

結局アルバムを聴いてしまったわ。全体を通すとアルバムというよりも楽曲集という印象だったけど、"Shiver"等良いと思う曲もチラホラあって、伊達に売れっ子ソングライターやってないなといった印象。

 

20 Glass Animals "Heat Waves"

今年一番のダークホース的ヒット。Post Maloneの『Hollywood's Bleeding』に入っていてもおかしくないくらいのトラップ感。バンドの定義を考え直す時期なのかも。

 

19 Little Mix “No”

ベストからのセカンドシングル。あまりヒットしなかったのが残念。彼女達のfierceでunstoppableなヴァイブスと笑目似恵子らしいブロダクションが鬼に金棒なブチアゲソング。

 

18 Wolf Alice “Smile”

開始2秒でオルタナロックは健在だということを思い知らせてくれる爆発力。

 

17 UKI EYE "Living Art (Album Mix)"

間違いなく脳内再生回数年間1位だったわ。今年は他にも強力な新曲が多数発表されている件のアーティストだけど、結局アタシはここに帰ってきてしまった。全世界に聴いてほしいブチアゲアンセムよ。

 

16 Girls Aloud "Something New"

この曲こそ、アタシにとってのマラ様のAIWFCIYよ。いつ聴いても新鮮な気持ちでブチアガることが出来る最高な曲。

 

15 Cardi B “Up”

I know that's right!!!

 

14 Britney Spears "Swimming In The Stars" 

アルバム『Glory』制作時のセッションにて作られた未発表曲。今年の年始に正式リリースされたこの楽曲、タイトル通り夜の海をたゆたう様な厳かで静かなカタルシスを呼び起こしてくれるポップソング。#FreeBritney 運動が実を結んだ今年のランキングに相応しいカッコいい曲です。まさかのバックスとのコラボという80,90's baby狂喜乱舞な"Matches"と併せて是非(こちらは楽曲としては普通だったかな、、、)。

 

13 Walker Hayes "Fancy Like"

今年のカントリーヒットと言えばこちら。ラップっぽいレイドバックした歌い方が今時のラジオリスナーを虜にした感じ、かしら。アタシはしっかりハマってしまいました。

 

12 GAYLE "abcdefu"

タイトルを見た時、思わず「その手があったか!」と唸ってしまった。Tik Tok向けな大合唱にピッタリのコーラス、元カレディスソングの系譜に見事に乗った最高なBanger。2021年は「運転免許証」に始まってこの曲で終わったなという印象。この2曲、サウンドの方向性以外は結構似てるんだよね。

 

11 Royal Blood “Typhoons”

Wolf Aliceと並んで今年のオルタナロックの顔。ちょっとR&Bっぽいファルセットが気持ち良いコーラスを聴いていると、ジャンル分けって本当にいらなくない?って気分になってくる。まあ意志の弱いアタシはジャンルにすがるしかないのですが、、、

 

10 Hannah Montana “I’ll Always Remember You”

ハンナはマイリーの成長に合わせて音楽性が進化している、とてもボーイバンド的なサントラの構成をしているのです。マイリーのルーツに寄せたこのカントリーパワーバラードは、「ハンナモンタナ」シリーズが終わりに近づいている寂しさをエモーショナルなヴォーカルが盛り上げてくれる最高な一曲なのです。

 

9 Steps “Take Me For A Ride”

世界中の全ての辞書の「大正解」という項目にこの曲を載せたいわ(それは1位の曲もなのですが、、、)。個人的に「Everybody Wants to Rule the Worldビート」と呼んでいる3拍子?の迫力あるリズムパターンでガナりポップスを歌われたら、降参するしかないんだよな。

 

8 Demi Lovato “I Love Me”

ジャケ写をmemeには使っていたけど曲をちゃんと聴いたのは今年に入ってから。なんでもっと早く聴いていなかったのだろう。コーラスでのビートのびっくりするくらいの緩急がもうたまらない。出見に「cuz I'm a black belt」って言われると「ですよね、、、」と返すしかなくない?

 

7 Lana Del Rey “When The World Was at the War, We Kept Dancing”

2014年発表のラナ様のアルバム『Lust for Life』収録曲。3月に新譜が発表されたタイミングで過去作品を改めてディグって、この曲の持つたおやかな妖しさとメリハリの効いたビートのコントラスト、退廃的で厭世的(この言葉も今年覚えました)なパワーフレーズに流れ着いたわ。

 

6 Anne-Marie & Little Mix “Kiss My (Uh Ooh)”

Lumideeの大ヒット曲を大胆にサンプリングした夏アゲソング。陽のエネルギーがすんごい。

 

5 宇多田ヒカル “One Last Kiss”

ヒカルが疾走感のある曲を歌った時、目の前にいる敵は全て消滅します。

 

4 Dua Lipa “Levitating”

去年Duaが『未来郷愁』をリリースする前から、メインストリームに於けるディスコサウンド回帰の流れは確実にあった(もっと言ってしまえばディスコサウンドが絶えたことは一度もないんだけどね。Jessica Simpsonの"A Public Affair"、皆好きでしょ?)。多分それはAdam Lambertが『Trespassing』でNile Rodgersを起用して、Daft Punkが『Random Access Memories』でダンスミュージックの枠を超えて世界を制した頃からの流れだと思う。けど、Dua Lipaは件のアルバムによって自身のアーティストとしてのステータスと2020年台におけるディスコの可能性の両方をネクストレベルへと押し上げた。この曲がLifehouseの"Hanging By A Moment"以来、「Hot 100で週間1位になってない曲が年間1位になった」という事実が、如何に彼女の音楽のリスナー数の裾野が広いかを物語っている。

 

3 Jennifer Lopez & Rauw Alejandro “Cambia el Paso”

今年もJLoはバッチリ仕上がっていました。今年大ヒットした(と伝え聞く)Rauw Alejandro君とサマーバンガーをリリースするスピード感にも平伏したわ。

 

2 Sara Evans “Niagara

去年の年末、2020年の年間ベストを作った後に知ってしまって「年が終わるまでは何が起こるかわからない」ことを教えてくれたド名曲。カントリーバラードのマナーに則った構成とコード進行から急に滝登りの如くブチ上がるサビの盛り上がり方、「Fall in Love」の落ちるをナイアガラの滝とかける大仰だけど有無を言わせない力強さ。初めて聴いた時、2番のAメロあたりで「この曲のことは一生好きって言い続けるだろうな」と確信いたしました。

 

1 Kylie Minogue & Dua Lipa “Real Groove 2054 (Initial Talk Remix)”

人類史には蒸気機関iPhoneなどの文明を一つ先の時代に押し上げるような発明が時々登場する。今年、人類は今後の歴史で永らく語り継がれるであろう新たな発明を目撃した。それがこちらです。

 

 

Album(EP)部門

 

14 Rita Ora 『Bang』

音楽以外の話題も豊富だったヲラ様。一方でコラボシングルを複数発表してご本人名義のEPまでリリースなさるなんて、畏敬の念を禁じ得ません。

 

13 Everything But The Girl 『Eden』

80年代の作品なんだけど、縁あって今年初めて聴くことに。"Missing"の印象が強いグループだけど、このアルバムは全編とても静か。ジョニ・ミッチェルニール・ヤングを思わせるフォーキーさとモダンジャズやボサノバなどのリズム隊っぽいビートが妙に耳に残る。

それにしても、こんな静かなアルバムを選ぶなんてアタシも歳をとったもんだわ、、、

 

12 The Pretty Reckless 『Death By Rock And Roll』

ラウドロックの真骨頂。エアロスミスやボンジョヴィの全盛期かってくらいパワフルかつメロディアス。終盤にある、スティーブン・タイラーのソロ作品みたいなカントリー色の強いバラードがまた泣かせるんだ。

 

11 Taylor Swift 『evermore』

ヲ帝の底なしのクリエイティビティとHAIM三姉妹をフィーチャーしている最高に治安の悪い楽曲への献杯です。

 

10 UKI EYE 『C' est La Vie』

音楽的なアイデアパワーワード、パワーフレーズの宝庫。リアレンジされた既出の楽曲がアルバムの流れにピッタリとハマっていました。「このおバカさんに恋してる」のピアノのイントロがめちゃくちゃエモいです。この世に存在するバラード、全てあのイントロで始めてほしい。「命短し恋せよDIVA」。 #2021isDIVA元年

 

9 georgia 『Seeking Thrills』

2020年作品。キュートでキッチュなヴォーカルと表情豊かなサウンドプロダクションがツボでした。

 

8 Speech Debelle 『Freedom of Speech』

リリースは2012年。ゴリゴリに尖ったフィメールラッパーのヴァイヴスは偶然にも2021年の空気にフィットしていると思う。

 

7 Kacey Musgraves 『star-crossed』

前作でケイシーが提示した、カントリーというジャンルの可能性を今作は更に深掘りしたような作品。

 

6 Will Young 『Crying on the Bathroom Floor』

カバーアルバムって、大抵よく知っている曲が違った形になるのを楽しむか自分のご贔屓アーティストが有名曲を歌っている豪華なカラオケ感にありがたみを見出すかだと思っているんだけど、このアルバムはまるでウィルが歌うためにテイラーメイドされたみたいに彼の歌声がスッと入ってくる楽曲ばかり。

 

5 Porter Robinson 『Nurture』

ザ・EDMという感じを期待していたけれど、その予想の斜め上を飛んでいくような快作。サウンドは俗に言うピコピコ音なのに、どこかアコースティックで爽やかな外の景色を感じさせる。Owl Cityの『Ocean Eyes』を思い出しました。

 

4 Demi Lovato 『Dancing With The Devil... The Art of Starting Over』

今年出た中で最も"圧"を感じたアルバム。冒頭3曲をイントロダクション扱いとしているけれど、どれも業の深いパワーバラードで出見のヴォーカリストとしての意地を感じた。アリアナやSam Fenderとのコラボなどボリュームも音楽的な内容も盛りだくさん。

 

3 Royal Blood 『Typhoons』

骨太なストレートロックなんだけど煌びやかなサウンド

 

2 Stan Getz & Joan Gilberto 『Getz/Gilberto』

これはめちゃめちゃ昔のアルバム。「イパネマの娘」という曲、名前くらいはどこかで聞いたことがあるのでは。ブラジリアンボサノバの金字塔的作品を、今年初めて教えてもらって聴くに至りました。とてもとてもチルくてヘビロテしてしまいました。

 

1 Arlo Parks 『Collapsed in Sun Beams

スラスラっと聴けてしまう。一聴すると地味なんだけど、その地味なグルーヴがとても心地良い。日向ぼっこをしているようなアルバム。癒される。

 

 

今年もたくさんの素晴らしい音楽と出会うことが出来ました。

ただ、個人的には「音楽に於けるSNS疲れ」を痛感した年にもなりました。次から次へとおすすめされる素晴らしい楽曲達に対して、アタシの時間は限られてしまっています。その中で出来る限りたくさんの音楽と出会いたい、けど一度出会った音楽を繰り返し聴いて自分の血肉とする前に新しい曲に出会ってしまう。贅沢な悩みですね。

 

来年も、自分のペースで色んな音楽と触れ合っていきたいと思います。

R.Kellyを生き延びて

2019年にアメリカで放映された、Rケリーの性的虐待事件の数々を暴いたドキュメンタリーシリーズによって、Rケリーのキャリアは決定的に失墜した。

彼が未成年の少女達に良からぬ事をしているという噂はアリーヤと結婚していた当初からまことしやかに囁かれていて、決定的な証拠こそないものの業界内や一部の音楽ファンの間では周知の事実であるかのような事柄だった。それが、被害者達へのインタビューを元にしたドキュメンタリーの公開により本格的に警察が動き出し、遂に正式に有罪判決が出たのだ。

「ドキュメンタリー作品がきっかけとなり警察が捜査に乗り出し、罪が明らかになる」という流れは日本にいると(それが本当の原因かは分からないが、)馴染みが無いので非常に新鮮である。ドキュメンタリーと言っても映画やテレビ番組だと、それが見る者の心に影響を与える事はあっても、実利的な面で社会的な影響力を持つということが、日本での事象としては聞いた事が無い。

しかしアメリカではこの手の話は、実はよくある事なのだ。マイケル・ジャクソンが少年達に性的虐待をしていた「かもしれない」という話もドキュメンタリー番組が契機となり大きく取り上げられるようになった話題だし、最近もブリトニーが成年後見制度により父親から不当に搾取されている事を取り上げたドキュメンタリーの公開が、#FreeBritney運動にまで発展した。

 

ただ最終的な着地点として、こういった告発系のドキュメンタリーが有罪判決に結びついた例はアメリカでも珍しいのではないかと思う(それか日本に情報が入ってきてないだけなのか。それだけ大きく扱われないと有罪判決にまで持っていけないのか、という絶望感に襲われた件については敢えて今は触れないでおく)。

 

目下、私にとっての課題は、今後彼の作品とどう向き合っていくべきか、という点だ。

以前、小山田なんちゃらが学生時代に同級生に度重なる暴力をふるい、それを自慢げに吹聴していた事件の時に私は彼とその音楽について非常に辛辣な意見を述べた。

Rのやったことは、自分より弱い立場のものに対して理不尽な暴力(という言葉だけで済むような話ではないが)を行ったという点では同じくらい悪質だし、自分の社会的立場を利用して組織的な犯罪としてそれを行なっていたという点では小山田なんちゃらの時よりも遥かにタチが悪い。

この状況の中で、この先彼の音楽をどんな気持ちでどんな顔をして聴けばいいのか。

小山田なんちゃらの時と違い、私はRの曲をこれまでの人生でそこそこの時間をかけて聴いてきた。曲によってはかなり好きだったものもあるし、当然彼の音楽にお金を払ったこともある。その自分が払ったお金が、件の組織犯罪の一旦を担うために使われていたかもしれないと考えると、申し訳ないのか腹立たしいのかよく分からない気分になる。

 

自分の音楽ライブラリから彼を抹消するのは、今回は難しい。なにせ彼が関わった楽曲は膨大なうえに、ものによってはこの先どこかでやっぱり聴きたくなるだろうなと思うくらい素晴らしいものもある。

彼の音楽との今後の関わりにおいて私が気をつけられることと言えば、ストリーミング再生等によって、彼にお金が渡る形で彼の音楽を消費することがないように気をつけること、彼の音楽が使用されている映画等にはなるべく近づかないこと、くらいだろうか。

それくらいしか思いつかないや、ごめん。

 

犯罪の被害者達や同じ様な事件の被害に遭った人達に対してはもちろん、これまで彼の音楽を聴いてきた人達に対して、本当になんてことをしてくれたんだ全く。

 

さて、Rには有罪判決がくだった。小山田なんちゃらは雑誌の謝罪文(のつもりなのだろうか。読んでないから知らんが)だけで済ますつもりだろうか。

作品と作者の関係性についての個人的意見(小山田なんちゃらの事件に寄る)

作品と作者の関係

 

この話題一つだけで、おそらく本棚が何台も埋まるほどの著書が執筆されているんじゃないかと思う。

「アート作品を享受する時、作者の人格・品位はどれほど重要か」という問題に対する答えは人の数と同じだけあるだろうし、おそらくその一人一人がこれまた「どの作品とどの作者の間柄についてか」によってこれまたたくさんの答えを持っていると思う。

 

私が大好きなテイクザットの現メンバーのGary、Mark、Howardの3人は、2012年に脱税疑いのある違法な投資を行なっていたとして2014年5月に追徴課税を行うよう裁判所命令を受けている。(2010年のフルメンバー再結成によってアーティストパワーを取り戻しており、これ以上の再結成に関わる必要を感じていなかったであろうロブは別として、)ショウビズ界が肌に合わなかったであろうジェイソンの脱退が報じられたのが同年9月。追徴課税命令のニュースで3人の名前だけが上がっていた時から、おそらく一部のファンはジェイソンと他の3人の間にある意識の差、ひいてはジェイの脱退の予兆に気付いていたのではないだろうか。

とにかく、キャリアを通じておおむね品行方正だった彼らのこの喜ばしくないニュースが、テイクザットの(当時の)新譜を楽しみにしていた私の心に少なからず影を落としたことは事実だ。今でも彼らが3人になってからの作品を聴いたりライブ映像を見たりすると、件の事件が頭をよぎる。2016年に上訴しない意向を公にしてファンへ謝罪したというニュースは、最初に脱税疑惑が告発された時ほど大きくは報道されなかった。

 

R&Bシンガーのクリス・ブラウンは2009年のグラミー賞前夜、当時交際していたリアーナへの暴行により逮捕(自首ではあるらしいが)された。リアーナの大ヒット曲”Umbrella”にブラウン氏が参加したCinderella Remixや彼が制作に参加してリアーナが歌い、やはり大ヒットした”Disturbia”を愛聴していて、二人がグラミーの舞台で共演するという事前情報に胸を躍らせていた当時の私にとって、この事件が起こったこととその後インターネットに浮上した事件直後の、瞼や頬が腫れ上がったリアーナの顔写真はとてつもない衝撃だった。おそらく世界中の人々が同じように衝撃を受けたであろう。当時、既にSNSが一般の人々にまで浸透しきった頃だったことも相舞って、メディアやセレブ達のブラウン氏への批判は凄まじいものだった。

不思議なことに、当のリアーナは数年後にまたブラウン氏との交流を再開、リアーナの”Birthday Cake”とブラウン氏の”Turn Up The Music”ではお互いが客演した公式リミックスが発表され、リアーナのアルバム『Unapologetic』にはブラウン氏が制作した”Nobody’s Business”という二人のデュエットまで収録されている。マイケル・ジャクソンのヒット曲”The Way You Make Me Feel”の印象的な歌詞をサンプリングしたこの曲で二人が「私と私のベイビーだけの問題、他の人は余計な首は突っ込まないで」と歌うのを聴いた人で、ブラウン氏の暴力事件を思い起こした人は私だけではないと確信している。

元々ブラウン氏もリアーナもデビュー当時から愛聴していた私としては、二人がハッピーならそれでいいと思う部分がある一方で、「二人が二人の間で起こったことをどう消化しようと、自分がクリス・ブラウンの名前を、曲を聴く時にあの暴力事件を思い出さないことは今後一生ないだろうな」とも思っている。クソが。

ブラウン氏にはRoyaltyちゃんという娘さんがいる。2015年にリリースされた彼のアルバム『Royalty』は愛娘に捧げたアルバムだそうだ。アルバムカバーでブラウン氏に抱っこされている赤ちゃんがそのロイヤリティちゃんだ。彼女はリアーナの音楽を聴くのだろうか。彼女は未だネットの海にあるリアーナの事件直後の写真を見たことがあるのだろうか。自分の父親がリアーナをボコボコにした過去についてどう思っているのだろうか。学校で、「お前の父ちゃん、リアーナのことボコボコにしたらしいな」とか言っていじめられていないだろうか。

 

先にちょっと名前が出たマイケル・ジャクソンも、私生活でのスキャンダルが大きく取り上げられた一人だ。彼の場合、未成年との性行や児童ポルノ所持などの被害者を名乗る者たちからの訴えは数多くあったが、どれも証拠不十分で最終的に有罪判決が下るなどの形で事件が成立したケースはない(多分。話題が豊富過ぎて追いきれてないかも、、、)。

私は、マイケルは本当に無実なんだろうなと思っている。おそらく普通の大人の感覚だと、「少年と成人男性の間に友情が芽生える」よりも「少年を食い物にしようとする小児性愛者」という構図の方が、不自然なほど親密な交流を大人のマイケルと子供たちが持つことに対する説明として受け入れやすいんだと思う。

多少の肩入れも相まって、彼の音楽は素直に楽しんで聴く事が出来る。

 

マイケルついでに、彼の後年の活動中頻繁にコラボレートしていたR. Kellyについてもちょこっとだけ触れておきたい。彼の場合、相当数の女性を監禁、洗脳して「セックスカルト」のようなものを作っていた事が警察の捜査で明らかになり、『Surviving R. Kelly』というドキュメンタリーで世間に広く知られることとなった。マイケルの時とは異なり、R. Kellyは複数の事件で起訴されており現在もその裁判は続いている。

上記で列挙したケースとRのケースで一つ大きく違うことがある。彼のフィールドである音楽業界が、Rに対して毅然とした態度で制裁を加えたのだ。Spotifyはあらゆる公式プレイリストから彼の曲を削除した。レディー・ガガは彼と共作した楽曲”Do What U Want”を、Pussycat Dollsはコラボした”Out of This Club”をそれぞれストリーミングやダウンロードサイトから削除した。

現在、R. Kellyはどのレーベルとも契約出来ずに細々とライブ活動をしているらしい。

 

スキャンダルを起こすのは、何も人に限ったことではない(いや、まあ人が起こすものではあるのだけれど、主体となるものが、という意味で)。

NFL、ナショナル・フットボール・リーグ。アメリカで最も人気のスポーツであるアメリカンフットボールのプロリーグである。2016年、コリン・キャパニックという黒人選手が試合前の国家斉唱の際に起立をしなかったことがニュースとなった。今では日本でもBlack Lives Matter運動の存在は知れ渡って久しいが、当時アメリカでは既にトレイヴォン・マーティン射殺事件等を発端として「未だに黒人は不当に差別され、命の危険に晒されている」という認識(であり事実)の元、アフリカンアメリカンの命と人権の尊重を求めたデモ運動が盛んに行われていた。コリンにとってもこの機運は人ごとではなかった。彼は「今のアメリカには、俺の愛国心を捧げるだけの価値はない」という事を悟り、星条旗から目を背けて膝をつくことで自分の信念を表明した。

彼の行動は賞賛と批判両方を呼んだが、実利的な面で言えば彼は苦境に立たされた。事件まで所属していた彼のチームは翌年の契約更新をしない選択を取った。フリーエージェントとして他のチームとも交渉を行うも、2021年現在に至るまで彼と契約を交わしたチームはない。事件後、NFLは国歌斉唱の際に選手が起立して国旗に対して敬意を表することを義務化したが、内外からの猛反発に遭いすぐにそのルールを撤回している。しかし、「我々は選手の信念を尊重し、国歌斉唱の際に起立する自由もしない自由も保障する」と定めたはずのNFLからコリンが締め出しを食らっていることは紛れもない事実である。そして2019年のスーパーボウルのハーフタイムショーにてNFLは自分達のしたことについて思い知らされることになる。結果的にマルーン5がその重責を担ったその年のハーフタイムショーだが、NFLはリアーナを第一候補に考えていたらしい。「リアーナがNFLからの依頼を断った」というニュース自体がお笑い草だ。アフリカンアメリカンの選手が人種差別に対する抗議の意を表明したことに対して締め出しを行っておいて、よくもリアーナにオファーが出来たものだと感心してしまう。NFLはその後もP!nkをはじめとした何組かのアーティストにオファーをしたらしい。ゴシップサイトで見た眉唾もののニュースだが、NFLにとってマルーン5は20番目の候補だったそうだ。大役を引き受けたマルーン5も大変だったろう。彼らがハーフタイムショーを飾ることが発表されてから、ネットでは彼らにハーフタイムショーを断るように働きかける署名運動が起こる始末だった。ハーフタイムショーはメインのアーティストと同じくらいゲストアーティストが豪華であることも有名だが、このバンドと共演したことのあるCardi BやMary J. Bligeといった有色人種アーティストらはこの機会を悉く袖にした。本番、Travis ScottとBig Boiという、このバンドと何の縁もない2人のゲストを迎えて奇妙で気まずい空気を終始放ちながら、それでもマルーン5は彼らなりのベストを尽くしたと思う。しかしそれはNFLに抗議する民衆側も同じだった。2012年のマドンナによるハーフタイムショーから年々右肩上がりだった視聴率は、この年ここ10年で一番低い数字を叩き出してしまった。

 

一つのアート作品や一人のアーティストの話をする時、それらを取り巻く環境やその裏にある信条などを切り離して論じる事は、成分表示の全くない食べ物を口にするのと同じくらい表層的であり、自分自身にとって危険なことであると言わざるを得ないというのが私の持論である。

絵画を美術館で見る時、本を読む時、そしてもちろん音楽を聴く時、ほとんどの場合そこには作者の名前がある。何という名前の人が生み出した作品なのかは、アート作品に付随する最初の二次的情報になる。アートを享受する次元が上がれば、当然二次的情報は増えていく。どういった時代背景の元にその作品が生み出されたのか。作者のインスピレーションは何だったか。その作品が後に与えた影響とはどんなものだったのか。一つの作品を好きになればなるほど、それを取り巻く情報を知りたくなるのが人の心というものだろう。それは作家、音楽家、映画監督や俳優などのインタビューを掲載している雑誌が売れて、ネット記事が読まれ続ける大きな理由の一つである。

ましてや、アート作品を享受する我々は人間である。機械的に「この作品を楽しむ時はアーティストのことは考えないようにしよう。あの作品を楽しむ時はアーティスト本人とセットで考えよう」などと綺麗に線引き出来るような器用さのある人の方が珍しいだろう。意識的であるにしろ無意識的であるにしろ、芸術作品はその作者やそれを取り巻く環境といった文脈を含めて読み解かれることの方が圧倒的に多いし、それが芸術の魅力でもあったりする。だからこそヒップホップ文化ではディストラックでのビーフが常にホットな話題となるし、私生活で夫婦やパートナーである歌手同士がジョイントツアーやジョイントアルバムを制作するのが話題になったりする。

私もクリス・ブラウンの音楽は好きだったが、彼がリアーナ暴行事件の後初めて公式リリースした新曲名が”I Can Transform Ya”だと知った時は、「え、それって『リアーナみたいに顔をボコボコに殴って形変えてやろうか』ってことですか?」と思わずにはいられなかった。それは決して「アイツの音楽を私生活と結び付けてやろう」と意識的に考えた結果ではない。ブラウン氏が「I can transform ya, I can transform ya」と歌う度に、勝手に私の脳裏に事件直後のリアーナの痛ましい写真が、夏の夕立に伴う稲光のように突然飛来して、引き剥がすことの出来ない残像のように曲そのものの印象に重なるのだ。

 

 

その上で、小山田なんちゃらという人間が東京五輪の開会式に使用される楽曲制作に携わっていたという事実について。

 

この小山田なんちゃらがどういった音楽を作ってきたのか、自分はほとんど知らない。自分のパソコンに入っている音源をワード抽出したところ、Stingのアルバム『Sacred Love』の日本盤ボーナストラックで”Moon Over Bourbon Street”のリミックスを手がけていたものがかろうじて確認出来た唯一のものであった。決して悪い出来ではなかったが、Stingのアルバムの収録時間にわざわざ付け足す程の何かを提供しているという印象を抱くことはついぞなかった。

例のロッキンオンやクイック・ジャパン誌面に記載されている、おぞましい犯罪行為の数々を知るずっと前のことだった。

 

「平和の祭典に相応しくない」「障害者を笑い物にしていた人間がオリ・パラに関わるなんて、国民をバカにしている」「日本の恥」等、様々な言葉でこの件に関する意見が交わされている。

 

私も同じ気持ちである。

なので、改めて彼を糾弾する言葉をこの場で書く必要は、今更ないかなと思う。

 

代わりに一つだけ、今一度ハッキリと強調しておきたい事実がある。

 

この小山田なんちゃらが何をしたか、それをロッキンオンとクイック・ジャパンがどういった扱いで雑誌の記事にして利益を得たか。そういったことを知りながらこの小山田なんちゃらの音楽を聴いている人々へ。今回の件に関してこのなんちゃらを擁護するコメントを残している人々へ。こういった事件を知りながら番組にコイツの音楽を起用した製作者、コイツをブッキングしたフェス関係者

 

 

 

おまえらも同罪だ。

 

 

 

 

アートとその作家を完全に分けることが不可能に近いのと同じように、アートを享受することにおけるパーソナルな面とソーシャルな面を切り離すことも不可能だ。

人の行動というのは、その当人がどう考えているかに関わらず、すべからく社会的な意味を持つ。

芸術に接することは、鑑賞者にとってとても個人的な体験である。どんな音楽を好み、どんな文体の小説を読むか。芸術と向き合う時、そこには作品と鑑賞者だけしか存在しない宇宙が出来上がる。一方で、その1対1の関係を外側から見た時、その閉じた関係性の中で成立している芸術体験に社会的な意味合いが生じることは避けられない。

西寺郷太氏はプリンスについての著書の中で「僕がプリンスのCDを買うために払ったお金、コンサートチケットを買うために払ったお金のほんの一部でも、プリンスが新曲を作るために新しい楽器やドラムマシーンを買うためのお金として使われているとしたら、それって僕がプリンスの芸術に貢献出来ているとも言えるのではないか」と(いうような内容のことを)書いている。

私が、例えばビヨンセのCDをここ日本で1枚買ったとする。そうすると、私がビヨンセの音楽を聴くことが出来るというパーソナルな出来事とは別に、世の中には「日本でCDとしてリリースされたビヨンセの音楽にお金を出す人が一人いる」というソーシャルな事実が残る。そしてそのソーシャルな事実は今後のビヨンセの日本に於ける販売戦略や来日ライブをどの程度の規模で行うかといった興行戦略を立てる上での一つの指標になる。

私が自分のために行った個人的行動が、世界の動きを決める一端を担うのだ。

 

例えば、どこかの誰かが小山田なんちゃらの音楽をSpotifyを使って一回聴いたとする。そうすると、再生数に応じてこのなんちゃらにはロイヤリティが支払われる。

このなんちゃらの音楽がテレビ番組に使われたら、楽曲制作の報酬とは別に「シンク・ライセンシング料」として視聴者数や視聴回数に応じてやはりロイヤリティが支払われる(ここは契約によって変わるので、あくまでよくあるパターンとしては、の話である)。

 

お金の話だけではない。

今回の報道によって、初めてこのなんちゃらの名前を知った人もいるだろう。その中には、もしかしたら今回の事の顛末を見て「なるほど。これくらいの『いじめ』をしたらこのくらいの社会的制裁があるんだな」と判断する小学生中学生がいるかもしれない。その社会的制裁も、もしかしたら度合いによっては「バレてもこの程度じゃんw」と思われるかもしれない。

 

五輪の後も、このなんちゃらはフジロックのグリーンステージに立つ(つもりである)。二日目大トリRADWIMPSの前、今年は日本勢のアーティストしか出演しないことを勘定に入れても、そこそこの大物扱いだ。

 

 

 

 

虫唾が走る。

 

 

 

 

「作品に罪はない」という言葉は事実だと思う。しかし、その罪のない作品を誰かが享受しようと行動を起こした時、そこには「作品とその作者に付随する情報を認めた人間が一人現れる」のも事実の別の側面として確かに存在する。

 

この小山田なんちゃらは、彼が作った罪のない作品が人々に与えた感動の対価として発生した報酬や賞賛を受けるに値する人間なのだろうか。

 

我々は、日々あらゆる場面で、個人的な決断に対して周囲から社会的な意味を勝手に与えられながら生活している。「そんなつもりはない」などという言葉は、事実の前では、件のなんちゃらが出した謝罪声明と同じ、何の意味も持たない空疎で見苦しい言い訳でしかない。

 

私は、どういった芸術作品に触れるかを含めて、日々下す大小入り混じった決断が持つ意味に対して、自覚的でありたいと思う。

スーパーボウル2021ハーフタイムショウ

二ヶ月近い延期が発表されたグラミー賞授賞式を尻目に、今年もスーパーボウルは開催された。

スーパーボウルが開催されたということは、当然ハーフタイムショウも行われた。

 

日本ではおそらくスーパーボウル本戦よりもハーフタイムショウを楽しみにしている人の方が多いのではないだろうか。

 

今年のハーフタイムショウはご存知The Weeknd。

 

事前のバズでステージに巨額が投じられている(The Weeknd本人のポケットマネーのような報じられ方だったけれど、「NFL側が一部しか負担しない」というだけなのでおそらくレコード会社の出資かと思われる)と囁かれていたが、その噂に違わぬ豪華で大仰な世界観を表した数々のステージ。そしてその上で自在に軽やかに動き回りながら歌うThe Weeknd。

 

14分のパフォーマンス全てが2020年最大のヒットにしてThe Weekndにとって新たな代表曲となった「Blinding Lights」を基に組み立てられている、とても計算されたステージだった。

冒頭、ラスベガス(「Blinding Lights」の一節に出てくるSin Cityとはラスベガスの俗称。ニューヨークを「Big Apple」、ロサンゼルスを「City of Angels」と呼ぶような感覚かしら)の街を模したセットとその中心に据えられた車(ランボかな?車種には疎くて)のセットから威風堂々と降りてきて、巨大なステージの真ん中に現れたエイベル君。巨大なベガスを模したセットの前で「俺はスターだぜ」と歌う「Starboy」、大きなスケールそのままに続く「The Hills」の不穏なメロディ。息付く間もなく迷路のような狭い屋内セットの中で大勢のダンサーと歌う「Can’t Feel My Face」、再び外に出てきたかと思うと今度は「どこかなようでどこでもない街」の中に「Alone」「Touch」「Long(ここでは「求める」の意味かなと思う)」といった言葉が並ぶ中で歌われる「I Feel It Coming」と最初のソロヒット「Earned It」。ラストはフィールドに出て大勢のダンサーと共に踊り狂う「Blinding Lights」での大団円。

「全てを手にしたスター(「罪が蔓延る街」のセットで「Starboy」を歌う彼)が巨大な街の眩い光の中で徐々に己を失っていき(狭い通路、手でカメラを持って酩酊状態を演出したかと思ったら自分の分身にもみくちゃになりながら「自身の顔も感じられない。けどなんか良い感じ」と歌う彼)、最後に自分にとって大事なものが何かに気づきながら(大きな街の中で孤独を感じている様が伺える文字のネオン、「君にはこれがお似合いだ」と歌われるEI)もそれが手に入らないまま成功の渦に呑まれていく(ライトを持った大勢の分身の中で「君に触れるまで僕が休まることはない」と歌われるBL)」みたいなストーリーを感じ取ることが出来る、まるでThe Weekndが本来だったら自分のツアーで語りたかった物語を凝縮したような目まぐるしくて豪華な、シアトリカルでありながら中身はとてもパーソナルな、そんなステージだった。ハーフタイムショウのサイズでこういったステージを見せてくれた彼の心意気に拍手である。

 

ここ3作品程はMax Martin絡みシングルを初めとしたヒット曲が強烈なインパクトを残してきたThe Weekndだけど、ミックステープ3部作で最初のバズを作ったり初期から凝ったPVを撮ったりと、元々は作品の世界観を大事にするタイプのアーティスト。今回のハーフタイムショウは、そんな彼のアーティストとしての姿勢とそれを大衆エンタメたらしめられるだけのヒット曲の数々が成せる稀なパフォーマンスだった、と思います。

 

 

 

まあ自分は去年のDivaDivaしさ増し増しなパフォの方がブチアゲなんだけど。

 

来年はTaylor SwiftかP!nkか、はたまたちょっと前みたいにベテラン勢推しだとしたらBon JoviDolly Partonあたりに出て欲しいな。

 

 

 

ゴードン・村田

Sara Evansの「Niagara」という曲について

2003年に発表されたアルバムに収録されていた楽曲だが、今日初めてこの曲を聴いた。

 

圧倒された。

 

心を掴まれた。完全に持っていかれた。

 

コーラスのメロディが生み出すカタルシスに身を任せていたら涙が出てしまった。

 

「あなたを愛するなと言うのは、ナイアガラの滝に落ちるのをやめるように言うのと同じ」という大仰で壮大なラブソング。

 

字面だけで見たら、カントリーバラードっぽいな、くらいで終わってた。

 

そこに、このコーラスのメロディである。

 

作った側も、このコーラスのメロディがとんでもなく素晴らしいことをよくわかっているような曲構成である。

 

5分半もあるのに余計な部分が一切ない。

 

本当に、本当に素晴らしい楽曲である。

 

昨日年間ベストを発表したのでこの曲は来年のチャートに反映させようかと思う。

 

正直、この曲程に私に琴線に触れる曲に会える自信がない。会えたらすごく幸せだと思う。

 

とりあえず、この曲に出会えただけで今年を生き延びてよかったなと思えた。

 

シングルにもなっていないけど、今からでもいいからこの曲がもっと陽の目を浴びることを切に願っているわ。

 

youtu.be

年間チャート、2020年

今年も年間ベストを発表する季節になりましたね。

 

今年は例年とは若干趣向を変えてお送りしたいと思います。

 

このチャート、「レイチェル・水沢の仮想紅白歌合戦」として見ていただける仕様にしたわ。

 

え?「何を言っているのかよく分からない」?

ごもっとも。けど読み進めてもらえればわかるわ。

 

読み方のヒントとしては

「チャートの先頭からレイチェル組、水沢組と交互になっている」

「性別は関係なし」

「複数楽曲を演奏するアーティストの実際のチャートイン楽曲は『』で囲まれている楽曲」

「一人で複数チャートインしているアーティストには注釈あり」

くらい。後はホント、読んでくれたらわかるわ。

ところどころ「なんか飛んでない?」と思っても、そのまま読み進めることをオススメするわ。

 

あとひとつ、このチャートは「ソングチャート」になっているわ。

 

では早速、「第一回レイチェル水沢主催、仮想紅白歌合戦」の開幕よ!

 

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2位 Selena Gomez (The Sweeter Place)
今年一発目の大型リリースとなった米酢のアルバム、The Weekndにも通ずるアンニュイさのあるテイストとあざといくらいにツボにはまってくるエアリーなポップさ。Chance The Rapperという意外なゲストが参加しているアルバム本編の締めくくりトラックは、アルバムラストにありがちな静かなバラードでも大仰な歌謡曲でも、逆にMJみたいなバキバキのダンストラックでもない。肩の力が抜けて、それでいてまるでこれからアルバムが始まるかのような妖しい雰囲気。アルバムのクロージャートラックとして新鮮だった。

 

51位 安斉かれん (GAL TRAP)
『M』での熱演が話題を呼んだ彼女が満を持して、なんと「フィジカルを無料配布」という形態でリリースした楽曲。ゴメスリスペクトが伝わってくるエアリーなヴォーカルとプロダクション、今後が楽しみなDivaの一人ね。

 

50位 Steps (What The Future Holds)
懐かしのグループが最新のヒットメイカー達とアルバムを作る。そりゃあブチアゲにもなるわよ。聴くレッドブルみたいな爆発力とバブリーさが潔い傑作だった。

 

49位 Cardi B & Megan Thee Stallion (『Savage / special guest: Beyonce』 ~ WAP/Girls Mashup / special guest: Rita Ora, Doja Cat)
今年、HOT100のみならず世界中のチャートを席巻したBadassフィメールラッパー二人による夢の競演WAP。歯に衣着せぬリリックが「下品だ」「女性の性に対する抑圧からの解放だ」と議論を起こし、キャンプなPVの豪華なカメオ出演者が話題になり。曲そのものが割とDOPEでNot so Popなので自分はあまり聴かなかったけれど、SNSのmemeとしてはお世話になりました。メーガンはQueen Beyを迎えてのSavage Remix(こちらは割と聴いたかも)が今年を代表するラップソングの一つになった。Bの参加が大きかったけど、普通にかっこいい曲だなと思いました。

 

48位 J.Lo & Maluma (Pati ~ 『Lonely』)
J.Loは本当にブレない。ミドルテンポで色気溢れる2曲をダブルA面シングルとしてリリースしたJ.Lo&Maluma。AMAでの息の合ったパフォーマンスを是非また披露していただきたい。

 

47位 Colbie Caillat (Goldmine)
2017年発売のアルバム『Malibu Sessions』は文字の通り、いつどこで聴いていようとアメリカ西海岸の海沿いをドライブしている気分にさせてくれる。雰囲気がまとまっている中でもこの曲のメロディは一際「立って」いて素晴らしい。

 

46位 MNEK (Every Little Word)
恵子のアーティストとしてのデビューEP1曲目。今年初めてちゃんと聴いたの。コーラスで急にキーが上がるのにビックリさせられたわ。

 

45位 Billie Eilish (Therefore I Am)
「my future」はあまりピンと来なかったけどこっちはカッコいい曲だな、と。

 

44位 Ashley Tisdale (The Zoom Song (Don’t Touch))
今年初めて聴いた昔の名盤の一つ、Ashley Tisdaleの『Headstrong』。ハリウッドレコーズらしい聴きやすくてポップな佳曲が揃う中でも、シングル群と並んで耳に残るキャッチーさのあるこの曲がお気に入り。偶然にも今年大活躍だった「Zoom」って単語も入っているし。

 

43位 藤井隆 feat, 早見優(Right Here, Right Now)
アタシの心の師匠、椿鬼奴先生も参加なさっているTAKASHI全面プロデュースによるアルバム。早見優さんの歌声が本当にカイリーにそっくりで驚いちゃった。ビートがオリジナルよりもタイトで圧が強かったのが印象的だった。

 

42位 Aaron Carter (Do You Remember)
ずっと好きだった曲なんだけど、今年初めてThe Scriptのダニーとマークがライターだということを知って納得したわ。アーロン本人は残念なニュースばかりだけど、彼自身の評判に楽曲が引きずられないといいなと思っております。

 

41位 NCT U (Birthday (Make A Wish))
今年は例年以上にK-Popに触れる機会が多い一年だったと思う。BTSやBlackpink等の世界中でチャートを賑わせているグループから、デビューしたばかりのグループの曲まで。NCTに関しては、お名前は存じていたけど曲をちゃんと聴いたのは今回が初めて。Jason Derulo印とでも言えそうな「音サビ」の楽曲。やり過ぎなくらいにカッコつけてて、それがちゃんとカッコイイ。

 

40位 Fantasy(綾瀬はるか、リア・ドウ、クロエ=グレース・モレッツ)

ほんの30秒のテレビCM用に収録されたマラ様のカヴァー。綾瀬さんのあどけない歌声、リアさんの凛とした歌声、Ms. モレッツの滑らかな歌唱。三者三様なんだけど、不思議と曲にマッチしていて思わずヘビロテしてしまっていたわ。フルバージョンがリリースされる日が、果たして来るのかしらね。

 

39位 Niall Horan (Heartbreak Weather)
今年出たナイルのアルバム、全編良いんだけど、良いアルバムってやっぱり一曲目のインパクトが違う。2020年のポップロックサウンドとはかくありき、っていうのを堪能させていただいたわ。

 

38位 Westlife (On My Shoulder)
Westlifeには他のどのボーイバンドよりもたくさんの名曲がある。それはもちろん彼らのキャリアの長さ、カタログの多さ、歌とコーラスワークの冴えがあるからこそなのだが、そうなると当然ヒットしたシングルに埋もれてあまり脚光を浴びない良曲も多く出てくる。4枚目のオリジナルアルバム『Turnaround』に収録されているこの曲も、そんな隠れた名曲の一つ。アタシとしては「Obvious」や「Mandy」よりもこっちをシングルカットして欲しかったのだけれど、どちらのシングルもヒットしたことを考えるとまああれで良かったのかな。切ないメロディとBrianのハスキーな歌声が素晴らしくマッチしている。

 

37位 Melanie C (Who I Am)
販売戦略が功を奏して久々にアルバムがUKチャートでトップ10に入ったスポーティ・スパイス。元気の良い彼女らしいダンスサウンドで全編固められているのが、さすがよくわかってらっしゃるってところかしら。

 

36位 八代亜紀 (bad guy)
熊本弁バージョンのbad guyカバーなんて、たとえ思いついたとしてもあんなに情緒溢れた歌唱で曲を自分のものに昇華出来るのなんて八代亜紀先生しかいらっしゃらないわね。今年の彼女の代表作になったと思う。

 

35位 Alex Cristensen & Natasha Bedingfield (Missing)
最近活動が活発な実姉が、90年代名曲のカバーアルバムにヴォーカルを提供していたの。曲はもちろん素晴らしいんだけど、メランコリックな雰囲気に姉のハスキーなヴォーカルがとっても映えているの。

 

34位 Icona Pop (In the Stars)
冒頭が「Got the 報酬 in my pocket」に空耳出来るってだけで選んだわ。それだけで十分過ぎるくらいの理由だと思わない? #BitchBetterHaveMyMoney

 

33位 Oasis (D’You know what I mean)
オアシスには代表曲がめちゃくちゃたくさんあって、普通のアーティストであればキャリアを代表するくらいの名曲なのに「Don’t Look Back In Anger」や「Live Forever」や「Wonderwall」があまりに、あんまりに代表曲過ぎちゃうから他の曲がちょっと陰っちゃう印象が否めない。サード『Be Here Now』のオープナーであるこの曲もそんなうちの一つ。7分の大作なんだけど、イントロからAメロからBメロからコーラスから、どこもかしこもハイライト。アルバムのトラックリストを決めるお仕事をしている人100人に訊いたら100人が「これ以外にあり得る?」って言っちゃうくらいに最高な1曲目、そんな1曲。

 

32位 Rita Ora (『How To Be Lonely』 ~ Anywhere)
ヲラ様の今年唯一のリリース、年間ベストに入れないわけにはいかなくてよ。Lewis Capaldiがソングライトとバック演奏およびコーラスで参加した意欲作だったけれど、PVでの卵踏みつけ事変やヲラ様ご本人の香ばしいニュースなどによって勢いが感じられなかったわね。3年前のヒット曲とのメロディで盛り上げてもらうわ。

 

31位 The Weeknd (In Your Eyes)
彼の曲は、ライターやプロデューサーやコラボレーターが誰であろうと「The Weeknd印」が滲み出てくる。それは単純な「声色」だけに留まらない。大仰でシアトリカルだけれども退廃的でメランコリック。「Blinding Lights」がビルボード年間シングルチャート1位の大ヒットを記録したが、自分はこっちの曲の方がよりThe Weekndとして2020年型ポップスを表現出来ていると思う。彼が歌うことに意味のある良曲だなと思いました。

 

30位 Louis Tomlinson (Walls)
1Dの最年長であり最後のソロデビュー。グループ時代から公言していたUKロックへの愛を爆発させたような、泥臭くて魂のこもった力作である。「影響を受けたのが明らかなメロディだから」と自らノエル・ギャラガーをクレジットに加えたアルバム表題曲。センチメンタルで力強いメロディ、グループの中でも決して歌ウマな方ではなかった彼の、歌い手としての大成長を感じられる歌唱。あっぱれ。

 

29位 TWICE (More & More)
MNEK絡みの曲はどれも素晴らしい。小気味いいキャッチーさ、キュートさとクールさの塩梅がまた絶妙である。

 

28位 Ava Max (Who’s Laughing Now)
彼女の「Kings & Queens」、Bon Joviの「You Give Love A Bad Name」を彷彿とさせるメロディだなって思うのはアタシだけ?
「叩けば良い音が響きそう」なくらい軽やかなサウンドに合わせてキャッチーな笑い声の歌詞が小気味よく響く良質なポップソング。彼女のキャンプでカラフルでビッチーなパーソナリティが十二分に生かされているわ。

 

27位 5SOS (Teeth)
ポップバンドであることを謳歌しているような、バンドサウンドとポップス寄りのプロダクションが良い塩梅で溶け合っている曲。アルバム自体も聴きやすくてかっこよくて素晴らしかった。

 

26位 Halsey (You should be sad)
ギターのメロディをこんな風に印象的にコーラスとして成立させられるなんて。ヴァース、コーラス、ブリッジの境目が曖昧なところも好き。来日公演がキャンセルになってしまったの、本当に残念。

 

25位 SZA & JT (The Other Side)
二人にとって久々のシングル。SZAのスモーキーなヴォーカルとジャスティンのハイトーンが素晴らしいコントラストになっている、と思う。今年の流行である80年代ダンスフロアに則った軽やかなグルーヴもアゲだったわ。

 

24位 岡村靖幸&Daoko (ステップアップLove)
こちらは日本の奇才二人によるデュエット。曲自体は3年前に発表されていたが、今年リリースされた岡靖のアルバムにこの曲が収録されていたことでランクイン。バキバキのタイトなビート、岡靖の熱い吐息のような重たい歌唱とDAOKOのエアリーな歌唱のバランス。とにかくかっこいい。

 

23位 Kesha (Raising Hell)
Dr. Lukeとの裁判に負けて以降チャートアクションがイマイチパッとしないケシャだけど、アルバムは彼女のアイコン的な音楽性である「チープなゴージャスさ」を発揮した良作だったわ。「6年前だったら大ヒットしてたんだろうな」って思わせてもらったわ(褒めてるわよ?)

 

22位 Tynisha Keli (Shattered)
2009年の曲、PVは超低予算。けど切なさがつのるメロディとティニーシャの甘い歌声、キラキラしたプロダクションの化学反応は一級品。いつ聴いても良い曲は良いのです。

 

21位 Rina Sawayama (XS)
実は彼女に関しては、「STUF」とか他のシングルがあまりに激しい音使いだったからちょっと敬遠していたの。それがどうよ、このとびきりキャッチーでポップでシニカルなBop!Duaと並んで「ブチアゲqueen of the year」受賞よ。

 

20位 Little Mix (Sweet Melody)
2010年代が生んだ稀代のスーパープロデューサーMNEK。Everything he touches turn to goldである。キャッチーで中毒性の高いBメロのフレーズ、ただでさえ高い攻撃力が更に増したPV。去年からコンスタントにリリースされてきたシングルの成績から、キャリアが長いポップアーティストの宿命である「シングルチャート上位に食い込めなくなる」フェーズに入ってきたかと思っていたがそれを力技でねじ伏せたような素晴らしいパワーポップ。元気をもらえるね。

 

19位 Dermot Kennedy (Outnumbered)
去年リリースされたデビューアルバムから、Now104に収録されたことで知ることとなった名バラード。早口でラップするようなヴァースと繊細なコーラス。港町のエド・シーランとでも形容出来そうね。

 

18位 Mabel (Mad Love)
メイベルはアルバム通してポップでキャッチー、めちゃくちゃ聴きやすくて好きです。曲の半分くらいがコーラスかってくらいキャッチーが詰め込まれてて最高よ。

 

17位 Lady Gaga & Ariana Grande (Stupid Love ~ 『Rain On Me』 ~ Positions)
このメドレーの肝は、やっぱりガガアリのデュエットRain On Meね。この曲があったからこそ彼女達は年間ベストにランクインしたわけだから。正直これが先行シングルとしてカットされていなかったらガガのアルバムは買っていなかったと思う。バキバキのダンスミュージックに振り切れているアルバムだったけど、キャッチーさ、ポップネスといったところでは今一つアタシの求めるラインに届かなかった作品だったわ。NaomiとYuriyanのパロディーPVが世界中でバズッたのも嬉しいニュースだったわね。

 

15位 Alicia Keys (Underdog: Ed Sheeran on guitar)
エドとアリキーのコラボ。字面だけで「なんか濃ゆい」となる組み合わせだけど、実際に出来上がったものは極々自然に耳に残る軽やかなアンセムだった。社会的に弱い立場の人々に「一緒に立ち上がろう」と歌いかけるこの曲に、陳腐な言い方だが「元気をもらえた」人は少なくないのではないだろうか。

 

14位 UKI EYE (チョコレート・ボーイ ワンコーラス(Bubbling Under Hot 52 Chart 1位) ~ 『Living Art』)
今年最も興奮を覚えたリリースと言っても過言ではない、シンガーソングライターUKI EYEの曲達。年明け一発目に聴いたシングルがチョコレート・ボーイだったんだけど、軽やかなEDMのプロダクションとキュートな歌唱、最後の「Y・O・U」の小悪魔的いたずらっ子っぽさまで、インディポップスの真骨頂だったわ。上半期はRinaとDuaの後を猛追するUKI、という構図だったんだけれど、夏の終わりに届けられたEPが凄かった。随所に散りばめられた仕掛け、アタシは半分も気づけなかったんだけど、音楽性のクレバーさを抜きにしてもポップでアゲで、かと思えば容赦のないセンチメンタルさもあって。「Living Art」は来年以降も長く聴き続けていかれるアンセムとなるわ。

 

13位 Sixpence None the Richer (Need To Be Next To You)
たまたま借りた彼女らのベスト盤を聴き進めるうち、「この曲、どっかで聴いたことあるな、、、」となってライブラリを調べたら、なんとアタシが大好きなBellefireのセカンドアルバムにカバーが収録されているではないか。彼女らのセカンド、思っていた以上にカバー曲が大量投入されていたのね。リー・ナッシュのエアリーで裏返りきらない高音はまさにアイコン。

 

12位 My Favorite Thing (Ariana、Carrie Underwood Duet。ピアノKeith Jarredd)
これは「誰のバージョン」みたいなのはないの。今年初めて、如何にこの曲が考え抜かれたメロディをしているかに気付いたのがあまりに衝撃的だったからついランクインさせちゃった。Aの音から始まって、ほぼ左右対象に鍵盤を行ったり来たりした後にEからちょうど1オクターブ上がって最後に黒鍵に着地する。まるでピアノの上をダンスしているみたいに美しいなって思ったの。アタシにとっては大発見だったわ。

 

11位 Taylor Swift (cardigan)
今年2枚のアルバムをサプライズリリースして世界中を驚きと熱狂の渦に巻き込んだテイラー。最近4作品くらいはメインストリームのポップミュージックを中心に幅広い音楽性を披露してくれて、セールスだけでなく音楽性においてもポップスの巨人ぶりを発揮していたテイラー。そんな彼女から届けられたのは、拍子抜けするくらいシンプルで静かなアルバムだった。まるでブルース・スプリングスティーンジェイムズ・テイラーが作っていそうな、粗くて静かで、ジャケ写やシングル曲のPV通り、森の中で聞こえる音のよう。「自分にまつわる歌ではなく、物語を伝えるような作品になった」そうだが、それでも彼女らしい言葉選びが印象的である。曲というよりも「テイラー・スウィフト」への加点ね。

 

9位 Alvaro Soler & J.Lo (El Mismo Sol)
今年の前半に見つけたJ.Lo関連の楽曲。夏の青空がピッタリなトロピカルハウス。J.Loファンとしてはこんな良い曲があることに気づかなかったのが恥ずかしい。Prince Royceをはじめとしてラテン系のアーティストのフックアップをするようになったJ.Lo、これからも目が離せない(Alvaro君ごめん、、、)。

 

8位 BTS (On)
今年も快進撃が続いた彼ら。遂にビルボードHOT100で1位を獲得した「Dynamite」が印象的だが、「クールさ」に全振りしたこの曲とPVこそ私にとっての「2020年式BTS」だった。Siaの客演バージョンも、彼女の普段の作風とピッタリはまっていた。逆にライターに彼女がいないのが不思議だ。

 

7位 藤井風(キリがないから)
日本のポップス界に現れた巨人。徹頭徹尾センスの塊のようなアルバムだったけれど、フューチャリスティックで全ての隙間に音が並べられたバキバキなサウンドがかっこよかったこの曲が一番のお気に入りよ。

 

6位 Celine Dion (Lying Down)
去年リリースされたセリーヌのアルバムからのシングル曲。Siaがペンを取っているのも納得なサッドバンガー。こんな素晴らしく力強いバラードを届けてくれるなんて、まだまだ彼女からは目が離せないわ。

 

5位 Harry Styles (Watermelon Sugar)
グループ時代も含めて初のHOT100首位獲得曲の爽やかなサマーアンセム。シンプルで奇をてらっていない、それでいて洗練されている良質なポップソング。やはり80年代らしさのあるグルーブが心地いい「Adore You」も素晴らしかった。

 

4位 Dua Lipa (『Physical』 / special guest: Gwen Stefani ~ Levitating / special guest: Missy Elliott ~ Break My Heart(10位): Back dancer: Little Mix & Steps)
今年を代表する素晴らしいアルバムを届けてくれたDua Lipa。ミニマムな作りの中にポップの宇宙が広がっているように感じるのは、LevitatingのPVやジャケ写によるものだけではないでしょう。11曲40分の中にポップスの全てが詰まっていたわ。リミックスアルバムの豪華さも加点ポイント。

 

3位 Official髭男ism (I Love…)
とあることをきっかけによく聴くようになった曲。彼らの曲を初めてちゃんと聴いたのだけれど、メロディがすごくアクロバティックに動く。そしてそれが割とちゃんと必要な動きだったりする。意外なほど自分の中で大きなクリティカルヒットになったわ。

 

2位 Doja Cat (Say So(16位) 1 chorus ~ 『Boss Bitch』 full)
今年最初にして最大の流行語「あたしはビッチ、あたしはボス。あたしはビッチでボス、グロスみたいにキラキラ光る」を生み出した神曲「Boss Bitch」と80年代っぽい甘いディスコサウンドで大ヒットした「Say So」で地位を確かなものとしたDoja Cat。まさに紅組トリに相応しいアーティスト。来年のグラミーも新人賞の大本命ともっぱらの噂()。

 

1位 スガシカオ(そろそろいかなくちゃ)
相当昔の曲だけど、タイムレスな魅力を放っている素晴らしい楽曲。ギターの切ない響きと情景と主人公の気持ちがヴィヴィッドに描かれている歌詞。やり場のない焦りみたいなものを人は持つものだと思うけど、この普遍的でありながら扱いが難しいテーマにここまで切り込んで見事にアートとして昇華した例をアタシは知らないわ。

実は人生で初めて、音楽を聴いて涙したのよね。ピアノでコーラスのメロディを弾いていたら音が4つしかなくて、今思えばコードやプロダクションとか色んな要素が絡み合っているんだけど、その時のアタシは「この4つの音の組み合わせだけでこんなにエモいコーラスが出来るなんて」と感動して、気づいたらボロボロ泣いていたの。

今年一番アタシの心を揺さぶったこの曲こそ、アタシの年間ベスト1位、そしてアタシ的紅白歌合戦の大トリは相応しいわ。

 

 

【お詫び】年間アルバムチャート中止のお知らせ

この度は、年間ベスト製作委員会としてアルバムチャートの作成に全力を尽くして参りましたが、年々「一枚のアルバムをキチンと聴く」機会が減り続けていることを受け、今年はアルバムランキングを作成することを断念するという結論に達しました。

ランキングを楽しみにしていてくださった皆様にご迷惑をおかけする結果となりましたことを、製作委員会一同、大変申し訳なく思っております。

 

なお、今年最もテンションが上がったアルバムを、Dua Lipaの『Future Nostalgia』であると発表させていただくことで、ランキングの代わりとさせていただくことを、どうかご容赦ください。

 

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今年はアタシの体調のこともあって、あまり音楽をたくさん聴くことが出来なかったなという印象よ。けどその分、聴くジャンルにちょっと幅が出来たことは一つの成長として嬉しく思っている次第よ。

 

来年もたくさんのポップスとダンスとブチアゲ、そして「心の拠り所」に出会えることを楽しみにしているわ。

 

それでは皆さん、Thank U, Next, Bitch!!!!!