GoldenPhoenixRecords

Rachelle・水沢よりアナタへ

スーパーボウル2021ハーフタイムショウ

二ヶ月近い延期が発表されたグラミー賞授賞式を尻目に、今年もスーパーボウルは開催された。

スーパーボウルが開催されたということは、当然ハーフタイムショウも行われた。

 

日本ではおそらくスーパーボウル本戦よりもハーフタイムショウを楽しみにしている人の方が多いのではないだろうか。

 

今年のハーフタイムショウはご存知The Weeknd。

 

事前のバズでステージに巨額が投じられている(The Weeknd本人のポケットマネーのような報じられ方だったけれど、「NFL側が一部しか負担しない」というだけなのでおそらくレコード会社の出資かと思われる)と囁かれていたが、その噂に違わぬ豪華で大仰な世界観を表した数々のステージ。そしてその上で自在に軽やかに動き回りながら歌うThe Weeknd。

 

14分のパフォーマンス全てが2020年最大のヒットにしてThe Weekndにとって新たな代表曲となった「Blinding Lights」を基に組み立てられている、とても計算されたステージだった。

冒頭、ラスベガス(「Blinding Lights」の一節に出てくるSin Cityとはラスベガスの俗称。ニューヨークを「Big Apple」、ロサンゼルスを「City of Angels」と呼ぶような感覚かしら)の街を模したセットとその中心に据えられた車(ランボかな?車種には疎くて)のセットから威風堂々と降りてきて、巨大なステージの真ん中に現れたエイベル君。巨大なベガスを模したセットの前で「俺はスターだぜ」と歌う「Starboy」、大きなスケールそのままに続く「The Hills」の不穏なメロディ。息付く間もなく迷路のような狭い屋内セットの中で大勢のダンサーと歌う「Can’t Feel My Face」、再び外に出てきたかと思うと今度は「どこかなようでどこでもない街」の中に「Alone」「Touch」「Long(ここでは「求める」の意味かなと思う)」といった言葉が並ぶ中で歌われる「I Feel It Coming」と最初のソロヒット「Earned It」。ラストはフィールドに出て大勢のダンサーと共に踊り狂う「Blinding Lights」での大団円。

「全てを手にしたスター(「罪が蔓延る街」のセットで「Starboy」を歌う彼)が巨大な街の眩い光の中で徐々に己を失っていき(狭い通路、手でカメラを持って酩酊状態を演出したかと思ったら自分の分身にもみくちゃになりながら「自身の顔も感じられない。けどなんか良い感じ」と歌う彼)、最後に自分にとって大事なものが何かに気づきながら(大きな街の中で孤独を感じている様が伺える文字のネオン、「君にはこれがお似合いだ」と歌われるEI)もそれが手に入らないまま成功の渦に呑まれていく(ライトを持った大勢の分身の中で「君に触れるまで僕が休まることはない」と歌われるBL)」みたいなストーリーを感じ取ることが出来る、まるでThe Weekndが本来だったら自分のツアーで語りたかった物語を凝縮したような目まぐるしくて豪華な、シアトリカルでありながら中身はとてもパーソナルな、そんなステージだった。ハーフタイムショウのサイズでこういったステージを見せてくれた彼の心意気に拍手である。

 

ここ3作品程はMax Martin絡みシングルを初めとしたヒット曲が強烈なインパクトを残してきたThe Weekndだけど、ミックステープ3部作で最初のバズを作ったり初期から凝ったPVを撮ったりと、元々は作品の世界観を大事にするタイプのアーティスト。今回のハーフタイムショウは、そんな彼のアーティストとしての姿勢とそれを大衆エンタメたらしめられるだけのヒット曲の数々が成せる稀なパフォーマンスだった、と思います。

 

 

 

まあ自分は去年のDivaDivaしさ増し増しなパフォの方がブチアゲなんだけど。

 

来年はTaylor SwiftかP!nkか、はたまたちょっと前みたいにベテラン勢推しだとしたらBon JoviDolly Partonあたりに出て欲しいな。

 

 

 

ゴードン・村田