音楽業界に於ける女性とは、その3
タイトルは、今年6月にリリースとなったロサンゼルスの姉妹バンドHAIMのサードアルバムの(ほぼ)直訳。
ハイム。
エスティ、ダニエル、アラナの三姉妹によるガールバンド。
2013年に超骨太でゴリゴリにグルーヴィーでロックなアルバムで鮮烈なデビューを飾った彼女たちもこれがもう3枚目のアルバムである。その間にカルヴィン・ハリス作品への客演やフロントウーマンである次女ダニエルのVampire Weekend作品への参加、ツイッターでのハロウィン動画のバズなど大小様々な作品を残してきた。
今作は、ファーストアルバムからのコラボレーターであるAriel Rechtshaidと、先に名前を挙げたVampire Weekendの元メンバーであるRostam Batmanglijと全てを作り上げた、彼女達の新境地である。
彼女達の特徴であるインディー的なキャッチーさはそのままに、ロスタムの影響なのか「ローファイさ」が増し増しになっている。
アタシにとって、ハイムのサウンドは「インディー的なポップネスがハードでタイトなビートに乗ってフェミニンかっこいいグルーヴを生み出している」みたいな感じだった。
今回のアルバムでは、その彼女達にとってのシグニチュアルなサウンドである”ハードでタイトなビート”がだいぶ抑えめになっているなっていう印象だった。
その代わり、様々な楽器の音色やサウンドエフェクトが聴こえてきて彼女達の守備範囲を押し広げている。
特に後半の楽曲群、「Leaning On Me」はFleetwood MacやDixie Chicks改めThe Chicks(シタールのように聴こえる弦楽器はロスタムの影響を感じさせる)、「I’ve Been Down」の半分セリフみたいな歌い方はSheryl Crow、「Man From The Magazine」の即興っぽい録音と繊細なボーカルはJoni Mitchellを、それぞれ思い出させる、まさに「音楽業界における女性」へのリスペクトを込めて歌った良質なインディポップスといった趣。
最後尾に配置されている先行シングル群も、アルバム本編と比べるとラジオフレンドリーな音作りだったけれどこうしてアルバムの流れの中で聴いてみると意外としっくりくる(特に1曲目「Los Angeles」の最初に朝を告げるかのように鳴っていたトランペットの音がラスト「Summer Girl」の後半から終わりにかけて、夕陽が沈んでいくように爽やかに寂しげに響くのは心憎いプロダクションだと思う。どちらもロスを題材にした曲だし)。
ミュージックビジネスの最前線で活躍してきた偉大な女性アーティスト達への密やかなオマージュともとれる作品で、今の自分達の立ち位置を誇りを持って歌い奏であげる。
インディーロックのアルバムとして客観的に素晴らしい
「Walking Away」や「Falling」みたいに独特の強めのグルーヴとR&Bの影響を感じさせる彼女達が好きなアタシとしては、そこそこ好きかな、くらい
アルバムの内容なそんな感じなんだけど、、、
今回、アタシが言いたいのは
オフィシャルサイト!アンタ仕事遅過ぎなのよ!!!!!
アルバムとグッズとのバンドルで購入したんだけれど、アルバム発売が6月下旬、商品が届いたのが9月最終週
完全に忘れ去られてると思ってカスタマーサービスにめちゃめちゃメールを送ってしまったわ。
結果的にアルバムもグッズのマグカップも綺麗な状態で届いたから結果オーライだけれど、オフィシャルサイトでこのスピード感であることを考えると、やっぱりフィジカルで音楽を聴こうとすることは加速度的に時代遅れな行為になっていっているなと感じたわ。
「Albums, remember those? Albums, still matters」とはプリンスの言葉だけれど、彼はインターネット経由での音楽流通に早くから着手していたわ。”アルバムを聴く”ということそのものはまだまだ健在だとしても、その方法に関しては今は色々な方法がある。
時代に置いていかれないようにしないといけないのかしら。めんどくさいわね。
以上よ。